2007 Fiscal Year Annual Research Report
原始的生体防御分子の多様性に基づく円口類の系統発生的位置づけに関する研究
Project/Area Number |
17570085
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
藤井 保 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (10181314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 芳明 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30154462)
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Keywords | 円口類 / 補体系 / ヌタウナギ / レクチン経路 / マンノース結合タンパク質 |
Research Abstract |
円口類のヌタウナギ(Eptatretus burgeri)では抗体非依存的に活性化されオプソニン活性を発現する原始的な補体系が存在し、主要なオプソニン分子は補体第3成分(C3)の限定分解産物C3bであることを明らかにしている。また、この活性化反応に関与する補体成分の解析を進め、ヌタウナギでもマンノース結合レクチン(MBL)結合セリンプロテアーゼ(MASP)-1/3遺伝子が存在し、その構造がヒトの同遺伝子に酷似していることを明らかにした。さらに、同遺伝子に由来する二つのmRNAの存在を示し、MASP-1及び同-3タンパク質が、原始的補体系を構成する成分として同種血清中で機能している可能性を示唆した。しかしながら、これら成分のタンパク質レベルでの研究が進んでいないこともあり、C3の活性化機構については、未だ不明な点が多く残されている。一方、ヒト・レクチン経路では、血清中のMASPはMBLに結合し複合体を形成していること、またMBLは微生物上の糖鎖(N-アセチルグルコサミン(GlcNAc))やマンノースに結合特性を示し、補体系レクチン経路の活性化に必須の認識分子であることが示されている。そこで、本研究では、円口類における原始的補体系の全貌を解明する一環として、ヒト等MBLの糖鎖結合特性、並びにその機能的存在様式(複合体の形成)に着目し、ヌタウナギ補体系における認識分子等の同定を試みた。その結果、GlcNAc結合性の4つの血清タンパク質を分離し、19kDaと31kDaのタンパク質、26kDaと27kDaのタンパク質がそれぞれS-S結合していることが分かった。また、Edman法を用いたN末端アミノ酸配列解析により、前2分子の配列情報を得た。現在、同情報をもとにプライマーを設計し、PCR法による解析をすすめている。
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