2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアゲノム解析によるツツガムシの遺伝的多様性と進化の解明
Project/Area Number |
17570086
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授 (20132483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田淵 紀彦 福山大学, 薬学部, 講師 (60330685)
三谷 春美 福山大学, 薬学部, 助手 (30330690)
|
Keywords | ツツガムシ / ミトコンドリアゲノム / 系統解析 / 進化 / 生態 / ダニ |
Research Abstract |
ツツガムシミトコンドリアゲノム(mtDNA)を明らかにし、遺伝子構成と塩基配列比較により、これらのダニを定量的に比較することを企てた。ツツガムシ病リケッチア媒介ダニであるフトゲツツガムシmtDNAについてはすでに報告したように、節足動物のそれに比較して、遺伝子組換えあるいは重複が頻繁に起こっていた。 本課題で、フトゲと同属(Leptotrombidium)のアカツツガムシ、デリツツガムシ、タテツツガムシ、フジツツガムシ、アラトツツガムシ、L.imphalum、L.fletcheri、L.chiangraiensisおよび新種ツツガムシのチトクローム酸化酵素(COI)遺伝子を比較した。これらダニは、フトゲ、アラト、フジ、新種のグループとそれ以外を含むグループのふたつの系統に分岐した。さらにフトゲグループでは別グループに比しグルタミンtRNA遺伝子の移動と制御領域の重複が起こっていた。ダニの地域的分布をあわせて考察すると、フトゲグループは寒冷地に分布、別グループのダニは日本および東南アジアに生息するもので、この生物の適応放散の方向性を示唆するものであるが、詳細についてはさらなる検討が必要である。 一方、ツツガムシ近縁のWalchia属、Ascoshoengatia属ダニのmtDNA概要も明らかにした。これらゲノムの遺伝子構成はツツガムシとも、もちろん他節足動物のそれとも異なるものであった。昆虫や甲殻類を含む節足動物のmtDNA構成は良く保存され、ミツバチ寄生ダニやマダニ類の一部において部分的組換えが見られる程度である。 しかし、ツツガムシと近縁ダニ類においてのみ頻繁な組換えと重複が起こっていることの理由は不明であるが、この結果はmtDNAの複製や遺伝研究において重要であると考えられるので、今後この点について検討を進めていく。
|
Research Products
(2 results)