2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアゲノム解析によるツツガムシの遺伝的多様性と進化の解明
Project/Area Number |
17570086
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授 (20132483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田淵 紀彦 福山大学, 薬学部, 講師 (60330685)
三谷 春美 福山大学, 薬学部, 助手 (30330690)
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Keywords | 遺伝子組み換え / ツツガムシ / ミトコンドリア遺伝子構成 / ダニ |
Research Abstract |
フトゲツツガムシのミトコンドリア遺伝子構成について、調節領域(LNR)ならびに大小リボソームRNA遺伝子(rrnL, rrnS)の重複がどのステージで起こるかを検討した。野外で捕獲した成虫の産卵後の第一若虫、第二若虫、第三若虫についてそれぞれ遺伝子組み換えの有無をPCRにより調べた。対象とした遺伝子領域の基本構成はcox3-trnE-trnG-trnN-LNR-trnW-nad5であり、組み換えによりLNR-trnW間にrrnS-rrnL-LNRが挿入される。本実験ではcox3とnad5の内の保存領域にプライマーを設定してそれぞれのステージにおける組み換えの有無を検討した。このPCR産物は基本構成で1.5kb、組み換え体では3.5kbのサイズとなり、幼虫ではすべてが3.5kb、第一若虫では2:1の割合で長いサイズのDNA産物が得られた。これに対して第二若虫においてはほぼ1:1、第三若虫ではすべてが短い基本構成を持っていた。 また第二若虫の約半数の個体からのPCR産物では長短ふたつのタイプの混合が認められ、変態を繰り塚していく間に組み換え体は基本形に還元していくこと力確かめられた。この組み換えは他の種のツツガムシには観察されないので、フトゲツツガムシ特有の現象であることが考えられる。 またこの実験から、組み換えは受精またはその後の発生段階で起こる可能性が示唆されるとともに、この組み換えが野生個体でどの程度の広がりをもっているかというあらたな疑問が生じることとなった。
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Research Products
(1 results)