2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌におけるタンパク質細胞質膜挿入に関与する膜内在性新因子の構造と機能解析
Project/Area Number |
17570090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 賢一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (80291334)
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Keywords | タンパク質膜挿入 / SRP / SecYEG / 分泌 / 大腸菌 / MtlA / 再構成 |
Research Abstract |
大腸菌において膜内在性タンパク質はその合成に共役して膜挿入する。疎水性の強い膜貫通領域はシグナル認識粒子(SRP)とSRP受容体(SR)により膜にターゲットされ、タンパク質膜透過装置(SecYEG)上で膜挿入が進行すると考えられている。我々はMtlA(膜を6回貫通)を膜挿入基質として膜挿入反応の再構成系を確立した。その結果、MtlAの膜挿入にはSRP/SR、SecYEGと膜挿入新因子が必要であり、これらの精製因子のみから膜挿入活性が得られることが明らかとなった。また、膜挿入反応に関与すると考えられているYidCはMtlAの膜挿入には必要ないことも明らかとなった。さらにこの膜挿入新因子はLipid A誘導体であり、外膜主要成分であるリボ多糖(LPS)と一部生合成経路が重複していることを発見し、これらの知見を報告した(J.Biol.Chem.,2006)。今年度は、新因子の構造決定のためより高純度の因子の精製条件や可溶化条件を検討した。従来の精製方法では因子の可溶化に界面活性剤が必須であるため、NMRや質量分析といった機器分析が困難であった上、構造上類似しているLPSの混入を防ぐのも困難であった。可溶化条件の検討の結果、ブタノールーメタノールーテトラヒドロフランー水の混合溶媒で因子が効率よく可溶化できることを見出した。さらにこの溶媒を用いて、層分配や薄層クロマトグラフィー(TLC)で精製を進めた結果、SDS-PAGE上でもTLC上でも単一な標品として因子を精製することに成功した。現在、因子の構造を決定中である。
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Research Products
(2 results)