2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶液中での自由度に着目した抗体の抗原認識機構と抗原結合に伴う構造変化の解明
Project/Area Number |
17570096
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
織田 昌幸 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 准教授 (20318231)
|
Keywords | 生体分子 / 蛋白質 / 分析化学 / 免疫学 |
Research Abstract |
ウシ血清アルブミン(BSA)にハプテンとなる4-hydroxy-3-nitrophenyl(NP)の数を変えて結合させたものを抗原として、さらに親和性の異なる各種抗NP抗体を調製し、それぞれの分子間相互作用を、各種物理化学的手法を用いて解析した。その結果、抗原のハプテン価や抗体の抗原結合親和性と、抗原・抗体間複合体の大きさの間に相関関係が見出され、さらに抗体のFc部分を固定化したB細胞受容体モデルにおいて、溶液中での相互作用と複合体形成能に違いが認められた。なお本結果は、現在、論文投稿中である。ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)のS-S結合を部分的、及び全てを還元アルキル化し、2種類の抗HEL抗体との分子間相互作用解析を行ったところ、各抗体との結合力の低下が結合速度依存的に認められた。これは還元アルキル化HEL中の天然構造部分を検出しているものと考えられ、X線結晶構造など静的な立体構造解析では検出できない動的構造の検出プローブとしての有効性も示したことになる。なお本結果は、現在、論文投稿中である。 上記、立体構造を認識する抗HEL抗体を対象として、質量分析によるエピトープ決定を試みた。還元アルキルHELとの複合体を架橋剤により安定化し、トリプシンなどで酵素消化した断片の質量を、抗体の有無で比較することで、立体構造エピトープを決定する新たな試みである。現在、解析に伴う課題がいくつかあり、その克服のための研究を行っている。
|
Research Products
(2 results)