2005 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えタンパク質の高次構造ダイナミクスとその機能的役割の解明
Project/Area Number |
17570097
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (80300870)
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Keywords | タンパク質と酵素 / 核酸 / 遺伝子及び染色体 / 構造生物学 / X線結晶解析 / 生体高分子構造・機能 / 遺伝情報複製・再編 / 染色体構築・機能・分配 |
Research Abstract |
相同組換えは、放射線などによる二重鎖切断の修復や、減数分裂期に起こる遺伝的組換えの際に重要な役割を果たしている。相同的対合反応は、相同組換えの要の反応であり、相同的対合反応を触媒する酵素として、バクテリアのRecAおよび2種類の真核生物型RecAホモログであるRad51とDmc1が知られている。これら3種類の相同的対合タンパク質(RecA、Rad51、およびDmc1)は、単量体としては酷似した立体構造を形成し、いずれもらせんフィラメント状の四次構造を形成する。しかし驚くべきことに、このようならせんフィラメント状構造以外にも、RecAおよびRad51は6量体のリング構造を、そしてDmc1は8量体の構造を形成する。申請者らは、X線結晶構造解析法によって、ヒトDmc1の8量体リング構造を原子分解能で決定することに成功している。本年度は、このDmc1のリング構造形成の分子機構を明らかにするために、ヒトDmc1の欠失変異体を作製した。その結果、N末端ドメイン(1-82アミノ酸)を欠失したDmc1は、水溶液中で8量体ではなく7量体を形成することが明らかになった。この欠失変異Dmc1は、DNA結合能においても著しい欠損を示した。これらの結果から、これまでその機能が不明瞭であった、Dmc1のN末端ドメインが、Dmc1の四次構造形成およびDNA結合活性に重要な機能ドメインであることが明らかになった。
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