2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次構造変換によるヒアルロン酸糖鎖の受容体識別機構
Project/Area Number |
17570098
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
板野 直樹 信州大学, 大学院医学研究科, 助教授 (40257712)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 糖鎖 / 相互作用 / 受容体 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
ヒアルロン酸糖鎖長と高次構造との関係解明を目的に、糖鎖長の異なる3種のヒアルロン酸(平均分子量1000kDa,6.8kDa,1.7kDa)をマイカ基盤上に塗布し、乾燥後、原子間力顕微鏡による三次元構造の観察を行った。1μg/mlの低濃度では、ヒアルロン酸は何れのサイズにおいても直径50nm以下の球状構造として観察できた。球状構造のサイズはヒアルロン酸の濃度の上昇に伴って増加する傾向が認められた。しかしながら、10μg/ml以上の濃度においては球状構造のサイズ上昇は認められなかった。本研究の結果において、ヒアルロン酸が球状構造として観察されたことから、ヒアルロン酸とマイカ基盤との親和性を変化させることにより、ヒアルロン酸構造を変化させて観察できることが推察された。一方、表面プラズモン共鳴装置によりヒアルロン酸標品に対する受容体蛋白質の親和性について検討した。上記糖鎖長の異なる三種類のヒアルロン酸標品をビオチン化してストレプトアビジンセンサーチップ上に固相化した。これら糖鎖長の異なるヒアルロン酸に対する受容体CD44の親和性を検討した結果、何れのヒアルロン酸標品に対しても結合が認められた。しかしながら、ヒアルロン酸結合分子であるバーシカンプロテオグリカンの共存下及び非共存下でCD44のヒアルロン酸親和性を評価した結果、今回検討した結合条件下では、ヒアルロン酸固相化センサーチップに対するCD44の親和性に、バーシカンの相加的並びに相乗的効果は認められなかった。今回の結果から、ヒアルロン酸、CD44、バーシカンの量的関係を更に詳細に検討することの重要性が示唆された。
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