2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17570100
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Research Institution | Daiichi University |
Principal Investigator |
池原 征夫 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (70037612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 俊幸 福岡大学, 医学部, 講師 (80190099)
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Keywords | オルガネラ / ゴルジ体 / 構造形成 / 小胞輸送 / 小胞繋留因子 / p115 / COG複合体 |
Research Abstract |
p115は、酵母における小胞体-ゴルジ体間の小胞輸送をコントロールする因子Uso1pの相同体である。p115はN末端側の球状東部領域(head domain)、長い桿状らせん状領域(rod-like coiled-coil domain)、およびC末端の酸性尾部領域(acidic tail domain)を持つ分子量115kDaの可溶性タンパク質であり、2量体として機能する。これまでの研究から、p115は小胞側のGiantinおよびゴルジ膜側のGM130と特異的に結合することによってCOPI小胞をゴルジ膜へ繋留させ、これにはp115のcoiled-coil領域が関与することが示唆されている。 今回我々は、p115の新しい機能としてN末端側head domainがCOG(Conserved Oligomeric Golgi)複合体と相互作用することによってゴルジ体の構造形成に関与することを明らかにした。先ず、酵母のtwo-hybrid法を用いてヒト細胞から、Uso1pと相同性の高いp115のN末端領域(HR2 domain)と特異的に結合する因子としてCog-2を分離・同定した。COG複合体は8種類のサブユニット(Cog-1〜Cog-8)から構成されるが、p115はHR2 domainを介してCog-2に結合しCOG複合体と相互作用することがわかった。siRNA導入によってp115の発現をノックダウンすると、ゴルジ体の重槽構造は断片化・解体され、細胞質全体に分散した。この形態変化はノコダゾール処理細胞に見られるゴルジ体の断片化と分散像に類似しており、免疫電顕的に解析するとゴルジ体は短い管状構造や小胞の集合体でいわゆるmini-stack構造を形成していることがわかった。ゴルジ体の構造が断片化したこの細胞にwild-typeのp115を発現すると、ゴルジ体は正常な重槽構造を回復した。一方、HR2 domainを欠失するp115変異体を発現させると、ゴルジ体は不定形な構造しか形成できず、分泌タンパク質を始め小胞を介する細胞表面へのタンパク質輸送も著しく障害された。これらの結果は、p115はGiantinやGM130だけでなく、新たな結合領域としてN末端側のHR2 domainを介してCOG複合体と相互作用することによって、ゴルジ体の構造形成とその機能発現に密接に関与することを示唆する。
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Research Products
(5 results)