2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管形成を制御するシグナル伝達ネットワークとその分子的基盤の解析
Project/Area Number |
17570106
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮澤 恵二 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40209896)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / 壁細胞 / 細胞増殖因子 / 細胞分化 |
Research Abstract |
ES細胞由来VEGFR2^+細胞を血清存在下で培養すると壁細胞へと分化するが、さらにVEGF-Aで刺激すると約50%の細胞は血管内皮細胞へと分化する。この実験系を用いてVEGF-Aによる血管内皮細胞分化シグナルの伝達機構を検討した。昨年度までにRasシグナルがVEGFR2の下流で機能している可能性を見いだした二本年度は内皮細胞分化におけるRasの役割とVEGFR2の細胞内ドメインの機能について検討を進めた。 ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤FTI-277存在下では内皮細胞分化が抑制されるが、タイムコース実験により、FTI-277感受性のシグナルが刺激後、数時間から12時間くらいまでの間に伝達されること、この時間帯はRasが活性化する時期とよく一致することを見いだした。また、ES細胞において細胞の分化状態に影響されずに遺伝子を誘導的にノックダウンするシステムを構築し、H-Rasのノックダウンにより内皮細胞分化の効率が有意に低下することも明らかにした。以上の結果により、VEGFR2の下流でRasが重要な機能を果たしていると結論した。Rasの下流のエフェクターとしてはRafにつながる経路、PI3Kにつながる経路などが知られている。特定の経路にのみシグナルを伝達するRas変異体(エフェクター変異体)を用いて、RasからRafへのシグナルの流れが内皮細胞分化を規定していることをつきとめた。 一方、VEGFR2のキナーゼドメインにあるチロシンリン酸化部位の内皮細胞分化における機能にっいてもキメラ受容体の手法を用いて検討を進め、Y1175が分化に必要なシグナルを伝達していることを見いだした。
|
Research Products
(2 results)