2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓消化酵素に見出した糖鎖結合活性の分泌と消化における意義
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17570109
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (90143700)
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Keywords | 生体分子 / 糖鎖 / 酵素 / 生体機能利用 |
Research Abstract |
7種類の糖タンパク質をビオチン標識後、様々なグリコシダーゼ処理により糖鎖修飾して30種類の糖タンパク質プローブを調製した。これら糖タンパク質プローブと、ウシおよびブタ膵臓トリプシン(BPT,PPT)ならびにウシ膵臓トリプシノーゲン(BPTG)との結合試験をトリプシン阻害剤存在下ELISA法により行った。膵トリプシンは、ウシ、ブタでほぼ共通して糖タンパク質のN型糖鎖に対して高い結合性を示した。一方、トリプシノーゲンはムチンなどのO型糖鎖に対してもよく結合した。表面プラズモン共鳴による相互作用解析から、ELISAでよく結合した糖タンパク質との親和定数(K_A)は、10^6-10^7M^<-1>の高い値を示し、トリプシンのフェツインに対するK_Aは脱N-グリコシル化により10^4M^<-1>まで低下し、ELISAでの結合性と相関する結果が得られた。一方、種々の糖-ビオチニルポリマー(BP)-プローブとのELISAによる結合分析から、各酵素で単糖レベルでの糖結合特異性も観測され、糖タンパク質結合性は、酵素タンパク質の糖鎖配列に対する認識によることが示された。結合する糖質存在下では、トリプシンの人工基質に対する酵素活性が非競争的または不競争的に増強したことから、触媒部位とは異なる部位で糖と相互作用することにより、自己消化の抑制や基質結合の促進が誘導されるなど、酵素の構造を安定化する効果が考えられた。ブタ十二指腸から刷子縁膜を抽出し、小腸内のレセプターを探索した。刷子縁膜にはα2,6-結合したシアル酸を含む糖鎖や高マンノース型糖鎖が存在することが示され、ビオチニルPPTはこれらのうち複数の糖タンパク質バンドと結合した。刷子縁膜画分との結合によっても、酵素活性は増強することが示された。
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[Journal Article] Screening for and purification of novel self-aggregatable lectins reveal a new functional lectin group in the bark of leguminous trees.2005
Author(s)
Ina, C., Sano, K., Yamamoto-Takahashi, M., Matsushita-Oikawa, H., Takekawa, H., Takehara, Y., Ueda, H., Ogawa H.
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Journal Title
Biochim.Biophys.Acta 1726(1)
Pages: 21-27
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