2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17570114
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岸田 昭世 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50274064)
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Keywords | Dvl / シナプトタグミン / エクソサイトーシス / ドパミン / Wntシグナル / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
真核動物では、ほとんどの細胞に方向性すなわち「極性」があることが明らかになっている。細胞の極性と関与するプロセスとして、細胞運動や、神経細胞での神経突起形成や神経伝達物質の開口放出などがあるが、いずれもWntシグナルとの関わりは不明な点が多い。本年度は、Wntシグナル伝達経路の構成分子Dvlの作用機構を解析するために、酵母two-hybrid法で、Dvl結合蛋白質を検索し、シナプトタグミンを同定した。哺乳動物でシナプトタグミンは少なくとも15種類からなるファミリーを形成しており、代表的なシナプトタグミンIは神経細胞での開口放出(エクソサイトーシス)によるドパミンなどの神経伝達物質の放出を制御することが知られている。しかし、Dvlが神経伝達物質の放出に関わるか否かは不明であった。 DvlはDvl-1,-2,-3の3種類からなるファミリーを形成しており、全てのDvlがシナプトタグミンIと複合体を形成した。解析の結果、Dvl-1においては、DIX領域とPDZ領域の中間の141番目から227番目の領域、シナプトタグミンIにおいてはC末端側のC2B領域が両者の複合体の形成に重要である事が明らかとなった。 PC12細胞でDvlをsiRNA導入によりknockdownすると脱分極刺激によるドパミン放出やシナプトタグミンIを含むシナプス小胞のリサイクリングが著明に抑制された。この細胞にDvl-1を再導入するとドパミン放出抑制が解除された。また、PC12細胞にシナプトタグミンIと結合しにくいDvl変異体(Dvl-1-(Δ141-227))を発現させると脱分極刺激によるドパミン放出が抑制された。 したがって、DvlはシナプトタグミンIと結合することにより神経伝達物質の放出に関与することが明らかとなった。
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