2005 Fiscal Year Annual Research Report
複製開始におけるMCMヘリカーゼ複合体の活性化制御機構
Project/Area Number |
17570124
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
高井 裕子 (ZHIYING You) (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (90332270)
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Keywords | DNA複製 / MCMヘリカーゼ / DNA結合活性 / 複製フォーク / MCM結合蛋白 |
Research Abstract |
本研究では、Mcm4,6,7ヘリカーゼの活性化制御機構を生化学的に調べることにより、ゲノム複製開始とその制御の機構を明らかにする。すでに、Mcm4/6/7ヘリカーゼがTの連続配列により特異的に活性化されることを見出した。DNA複製開始部位には多くの場合、AT-richな配列が存在することが示唆された。この結果から、我々は、T-rich配列によるMCMヘリカーゼの活性化が、複製開始領域を決定するという仮説を提出した(You et al. EMBO J.2003)。すなわち、Mcm4/6/7複合体は二量体として複製起点領域に選択的に結合し、複製フォークで効率よいヘリカーゼとして二本鎖DNAの巻き戻しを行なう可能性を示唆する。本年度は、複製開始領域をmimicするバブル構造において、Mcm4/6/7複合体はダブルヘキサマーとして左右対称に両分岐点の5'側に隣接している25ヌクレオチドの一本鎖領域に結合することを明らかにした。片方strandのチミン残基を欠損するとDNA unwinding効力はかなり減少されることから、double-hexameric Mcm4/6/7が同時双方向にフォークを効率的に解くことを示した。また、ヘリカーゼ活性が3'tailのチミンの含量に関与し、最大のレベルは50%以上のチミンがあることによって達成されます。さらに、活性化されたMcm4/6/7複合体のヘリカーゼ活性がGC-richな二本鎖DNAによって阻害されることを明らかにした(You & Masai, NAR 2005)。 Cdt1タンパク質はMcmのクロマチン結合に重要な役割を果たしていることがよく知られている。Cdt1はMcm複合体と共免疫沈降し、特にMcm2、Mcm4/6と相互作用することが明らかとなった。また、Cdt1の存在下では、Mcm4/6/7とMcm2〜7複合体のDNA結合活性が促進される。さらに、Cdt1と相互作用するgemininは、Mcm-Cdt1-DNA複合体からCdt1を除去するが、Mcm複合体はDNAに結合したまま残る。これは、Cdt1はpre-RC形成の後にクロマチンから解離するという事実と合致している。一方、Mcm4/6/7ヘリカーゼの活性は高ATP濃度下でCdt1によって促進される。また、Cdt1タンパク質がATP結合蛋白であることが明らかになった。ATP結合能のKdは約30μMである。ATP結合していないCdt1タンパク質が過剰存在すると逆にMcmヘリカーゼの活性を阻害するが、同量なATP結合したCdt1タンパク質がMcmのヘリカーゼ活性に強く促進することが見出した。以上の事実は、Cdt1は大腸菌ヘリカーゼDnaBのloading因子であるDnaCと類似な機能を持つことを示す。現在、Cdt1のATP結合能変異体を作製し、Cdt1によるMCMヘリカーゼ活性の制御と調節機構を明らかにする。
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