2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17570130
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20171720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10093428)
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Keywords | アクチン / ADF / コフィリン / 光ピンセット / 脱重合 / 力学受容 / メカノセンサー / 張力 / 一分子 |
Research Abstract |
生体膜や細胞骨格には内在ストレスが存在し、これらは細胞の成長、分裂、形態変化、運動に伴って変化して細胞応答を修飾する。しかしその分子機構は全く未解明の状態である。その最大の理由は、機械刺激の感知機構、言い換えるとメカノセンサーの分子実体やその仕組みが不明な点にある。現在唯一明瞭なメカノセンサーは細胞表面の膜にある機械受容チャネルのみである。一方で力の伝達媒体であるアクチン自身が力学受容の装置として働いている可能性はあったが、科学的に検討することはできなかった。本研究により、アクチンファイバーが力学受容機構を内在していることを示すデーターを得ることができ牢。この結果はチャネル以外に機械受容する実体が存在することをはっきり示すもので、大変重要なので、現在論文投稿準備中である。 本研究の示すことは、力学刺激がアクチン分子に作用するとアクチン線維の何らかの構造が変化する、この張力変化がアクチンファイバーにおこると、アクチンファイバーの脱重合因子ADF/コフィリンによるアクチンファイバーの脱重合作用が張力によって制御されていることである。つまりアクチン線維が力学受容の分子的な実体として働いることである。このことを証明するためにアクチン線維に直接張力を作用させて脱重合因子の作用が張力依存的であることを一分子可視化技術と光ピンセットによる分子レベルでの張力付加によって証明した。光ピンセットで張力を受けたアクチンファイバーにADF/コフィリンを作用させると、アクチンファイバーに張力がかかっている場合にはADF/コフィリンによる脱重合反応が進行しにくいが、光ピンセットによる張力を緩めると、アクチンファイバーの脱重合切断が観察された。これはアクチンファイバーが力学受容機構を内在していることを示している。
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