2006 Fiscal Year Annual Research Report
緑色イオウ細菌型光化学反応中心のヘテロダイマー化による電子移動経路の解析
Project/Area Number |
17570131
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大岡 宏造 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (30201966)
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Keywords | 緑色硫黄光合成細菌 / 反応中心 / 電子伝達経路 / 硫黄酸化経路 / 電子源 |
Research Abstract |
二年目の本年は、光合成系の電子源である硫黄化合物の酸化経路に注目し、どのような経路を通って光合成反応中心に電子が供給されているかを解析した。緑色硫黄光合成細菌Chlorobium(Ch1.)teoidumを用い、ペリプラズムの可溶性伝達体であるCycA(cyt c-554)の欠失株(ΔcycA)、硫黄酸化細菌においてS_2O_3^<2->の酸化に関与する多成分酵素系のひとつとして同定されたSoxBの欠失株(ΔsoxB)、およびその二重欠失株(ΔcycAsoxB)を作製し、その電子伝達経路と硫黄酸化経路の解析を行った。まずΔcycAから調製した光合成膜の閃光照射実験では、反応中心はcyt be複合体によって直接還元されており、電子はCycAを介さず伝達されることがわかった。また精製CycAを加えて同様の実験を行ったところ、cyt be複合体とCycAはそれぞれ独立に反応中心の電子供与体となることがわかった。S_2O_3^<2->を電子源として含む培地での生育を調べたところ、ΔcycAは野生株より増殖速度が遅くなったが最終的な増殖量には差が見られなかった。実際、培地中のS_2O_3^<2->の消費速度を調べたところ、ΔcycAは野生株よりも遅かったが完全に酸化されていた。これらのことは、CycAはS_2O_3^<2->酸化経路の最終電子受容体である可能性が最も高いが、CycAを介さない副次的な経路の存在も示唆している。しかしΔsoxBとΔcycAsoxBは全く増殖が見られなかった。一方、電子源としてS^<2->を含む培地では、すべての変異株はほぼ同等に生育した。これは硫化物キノン酸化還元酵素(SQR)によるS^<2->の酸化で生育できることを示唆し、S2-を酸化して得られる電子はCycAを介さずに反応中心に伝達されると考えられた。以上の結果から、緑色硫黄光合成細菌ChL teoidumにおいて、S^<2->とS_2O_3^<2->の酸化によって得られた電子は、それぞれ個別の光合成電子伝達経路で伝達されることが明らかとなった。
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