2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白分子内構造制御によるアミロイド線維形成機構の解明
Project/Area Number |
17570132
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (70126118)
|
Keywords | 蛋白質 / アミロイド / ジスルフィド / リゾチーム / 核形成 / ベータシート / H-D交換 |
Research Abstract |
1.アミロイド様会合体形成の基本過程 ジスルフィド結合をすべて欠損させたリゾチーム変異体(OSS)の圧力解離会合関連の熱力学量を求め、この線維の比容積がかなり大きいことを示した。また、線維の長さ分布を考慮した理論式を導き、解離実験結果を解釈して、1分子の解離の速度定数を求めた。一方、種々の部分構造保持変異体の線維形成速度、溶液条件依存性、臨界モノマー濃度、線維形態情報を求めた。1SS体間では線維形成速度に3桁に及ぶ差異が見られるにもかかわらず、蛋白濃度依存性より推定される核のサイズおよび原子間力顕微鏡観察によって得られた形態には大差が見られない。しかしエックス線小角散乱から得られた線維径には有意な差がみられ、さらに、4SS体の作る線維は形態、線維径ともに大きく異なる。これらの結果は、蛋白内構造の種類と大小がアミロイド線維形成反応の速度論的側面のみならず、反応様式そのものを左右していることを示す。 2.アミロイド様会合体における分子間ベータシート構造領域の同定 種々の部分構造保持変異体のアミロイド線維中で水素結合を形成しているポリペプチド領域をNMR検出H-D交換法によって同定した。OSS体の場合はさらに赤外吸収測定により、それらの領域が分子間反平行ベータシート構造をとっていることが示された。1SS体のレベルで、構造化により交換から保護された領域に差が見られた。すなわち、2種の1SS体ではOSS体で見られた部位に近似している一方、他の1SS体では異なった部位が保護された。またそれらの部位は、WT lysozyme線維で報告されているプロテアーゼ耐性コア領域とも異なるものであった。これらの結果は、蛋白内構造の種類と大小により、線維化の核形成反応部位ならびに伸長反応部位が多様であることを示す。
|