2005 Fiscal Year Annual Research Report
中心体/紡錘極体構成因子の細胞周期依存的ダイナミクス
Project/Area Number |
17570139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田仲 加代子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (80345264)
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Keywords | 中心体 / 紡錘極体 / 減数分裂 / 微小管 / 細胞周期 |
Research Abstract |
Sanger研究所が公表している分裂酵母のゲノム配列および転写情報を用いて、紡錘極体構成因子に多く見られるcoiled-coil構造を有するタンパク質をコードし、減数分裂期に転写が促進されている遺伝子のスクリーニングを行い、Hrs1pを単離した。Hrs1pは体細胞周期ではその発現が観察されないが、減数分裂前期に紡錘極体に現れ、核がホーステール運動を行うときには紡錘極体と共にその先導端に位置している。減数第一分裂の開始前にHrs1pの局在は消失する。hrs1遺伝子破壊株は体細胞周期には明らかな表現型を示さず、減数分裂を誘導すると、接合率の低下および胞子形成不全が観察された。この時の核のホーステール運動を生細胞でライブ観察したところ、野生型株で見られる紡錘極体を重合中心としたダイナミックな星状微小管(astral microtubule)による活発な核運動が観察されず、核は接合子の中央部分にほぼ静止しており、その周辺で散発的に微小管が重合・脱重合する様子が観察された。hrs1遺伝子を体細胞周期に強制的に発現させるとSPBを唯一の微小管重合中心とした星状微小管構造の構築が観察され、Hrs1pはこのSPBに局在しており、ホーステール運動を模した核運動が観察された。Hrs1pはγ-Tubulin Complex(γ-TuC)構成因子のAlp4p、γ-TuC複合体因子で体細胞分裂中の星状微小管形成に必須であるMod20p/Mto1p、SPB因子のKms1p,そしてHrs1p自身と相互作用した。以上の結果は、Hrs1pがこれらの因子と相互作用して微小管マイナス端をSPB近傍で保持することにより星状微小管構造を安定化する可能性を支持している。これらの結果について、Curr.Biol.15 1479-1486(2005)に成果を発表した。
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