2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム結合転写因子Bach1によるヘム応答性遺伝子制御の解析
Project/Area Number |
17570143
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
孫 継英 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (80397926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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Keywords | Bach1 / heme / β-グロビン |
Research Abstract |
本年度は、ヘム結合転写因子Bach1による赤血球の分化およびβ-グロビン遺伝子発現制御の解析を進めるために、野生型およびbach1ノックアウトマウスの骨髄から赤血球特異的マーカーであるLy-76(Ter-119)および幼若赤血球マーカーであるトランスフェリンリセプター(CD71)を用いてセルソーターによる赤血球系細胞分離法を確立した。赤血球系細胞におけるβ-グロビン遺伝子の転写量を定量RT-PCR法を用いた結果、野生型およびbach1ノックアウトマウスの間ではβ-グロビン発現に有意な差は認められなかった。また、α-グロビン、p45、GATA1などの発現もほぼ同程度であった。 bach1ノックアウトマウスでは、ほぼ全ての組織でHO-1が高発現している。HO-1は抗ストレス作用を有するため、野生型およびbach1ノックアウトマウス腹腔にphenylhydrazineを投与により溶血性貧血を誘導し、その反応を検討した。phenylhydrazine投与によりbach1ノックアウトマウスは野生型マウスと同程度の溶血性貧血が認められた。末梢血では、両者の間でヘモグロビン量、白血球および赤血球数の差は認められなかったが、bach1ノックアウトマウスの血小板数は野生型と比べて有意に増加することが判明した。β-グロビン遺伝子および造血系関連因子の転写量を定量RT-PCR法を用いて測定した結果、bach1ノックアウトマウスβ-majorグロビン発現量が軽度減少以外、α-グロビン、ALAS-E、p45およびGATA1の発現が野生型との差が認められなかった。 また、Bach1のグロビン発現スイッチへの関与を検討するため、妊娠10.5日目の野生型およびbach1ノックアウトマウスyolk sacにおける初期造血に発現するεy-グロビンおよびβh1-グロビンの転写量の測定を開始した。来年度も解析を継続する予定である。
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