2005 Fiscal Year Annual Research Report
MUK-JNK経路による新たな細胞内輸送制御分子機構の解明
Project/Area Number |
17570146
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平井 秀一 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80228759)
|
Keywords | 神経 / MAPキナーゼ / 細胞移動 / 輸送 / 発生 |
Research Abstract |
MUK(DLK)は、主に神経組織に発現しているMAPKKKクラスのタンパク質リン酸化酵素でJNKを活性化する。線虫やショウジョウバエにおいてJNKは神経組織の構築や機能発現に関わっている事が報告されているが、哺乳類の神経においてはアポトーシスへの関与に関する報告が主で、その他の機能についての報告は極めて少ない。我々はMUK-JNK経路の神経組織発生における役割を明らかにする目的で、MUK遺伝子ノックアウトマウスを作成し、組織/細胞/生化学レベルでの解析を行った。その結果、次にあげる3つについて明らかになった。 1)MUK遺伝子を欠損したマウス胚脳におけるJNKの活性は正常胚と比べて約30%の減少が見られた。 2)JNKの基質候補タンパク質のリン酸化レベルを分析した結果、MUK遺伝子を欠損したマウス胚脳においてはc-Junのリン酸化レベルが正常胚の半分以下に低下していた他、double cortinやMAP2のリン酸化レベルも10〜12%程度ではあるが有意に低下していた。 3)脳組織構造の観察及びBrdUを用いた神経細胞のbirth date解析により、MUK遺伝子の欠損は神経細胞移動(radial migration)の遅延を引き起こすことが予想された。胚大脳脂質のスライス培養系を用いた細胞移動速度の測定によりこれを検証した結果、正常胚大脳皮質のsubplate近傍でおこる神経細胞移動の加速がMUK遺伝子の欠損もしくはJNK阻害剤処理により鈍ることが明かとなった。 これらの結果は、これまでin vitro実験で報告されていたJNK周辺のシグナル伝達系が脳組織において実在することを示すと共に、MUK-JNK経路が細胞の方向性を持った移動を制御している可能性を示している。
|
Research Products
(3 results)