2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母細胞のコミットメントにおけるクロマチンを介した転写制御機構
Project/Area Number |
17570147
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
清水 光弘 明星大学, 理工学部, 教授 (80231364)
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Keywords | クロマチン / ヌクレオソーム / DNA構造 / 転写制御 / 出芽酵母 / ゲノム / 細胞型特異的遺伝子 / 減数分裂・胞子形成 |
Research Abstract |
本研究は、出芽酵母細胞のコミットメントに関与する遺伝子群において、クロマチンを介した転写制御機構を明らかにすることを目的とする。今年度は,主として、以下の2項目について研究を展開した。 1.α2/Mcm1pによる転写抑制におけるヌクレオソームポジショニングの機能解析 本研究において、我々は、出芽酵母ゲノムの正確な位置に、ヌクレオソーム形成を阻害する特殊DNA構造を導入することによって、局所的クロマチンの機能を解析する新しいアプローチを確立した。a-細胞特異的遺伝子BAR1プロモーター領域に、特殊なB'構造またはZ-DNA配列を挿入したところ、その長さに依存してプロモーターにおけるヌクレオソームポジショニングが破壊され、BAR1の発現が大きくなった。したがって、ヌクレオソームポジショニングはa-細胞特異的遺伝子の転写抑制に本質的な役割を持つことが実証された。また、これらの結果は、DNA構造によるクロマチンの改変を介して遺伝子発現を人為的に調節できる可能性も示唆している(論文投稿中)。 2.減数分裂・胞子形成過程におけるヒストンメチル化酵素遺伝子の変異の影響 二倍体から一倍体への転換の過程における減数分裂・胞子形成遺伝子群の発現におけるクロマチンの役割を明らかにするために、3種類のヒストンメチル化酵素遺伝子(set1,set2,dot1)の変異株を作成したところ、set1 set2二重変異株およびset1 set2 dot1三重変異株では、胞子形成が著しく低下した。set1とset2変異が相加的に働くことから、ヒストンメチル化酵素Set1pとSet2pは、胞子形成過程に重複した機能を持つことが示唆された(Morohashi et al.,2005)。
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