2007 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞の染色体複製におけるMcm10タンパク質の機能とその制御機構
Project/Area Number |
17570148
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
泉 雅子 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物照射チーム, 専任研究員 (00280719)
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Keywords | Mcm10 / 染色体複製 / 細胞周期 |
Research Abstract |
Mcm10は複製因子の一つであり、OrcやMcm2-7複合体などの複製前複合体の構成因子と相互作用するだけではなく、複製の伸長反応に関わるDNAポリメラーゼαやPCNA、染色体のcohesionに関わるCtf4とも相互作用することが報告されている。しかしながら、複製反応においてMcm10が具体的にどのような役割を担っているかは不明である。 私はこれまでに、ヒトMcm10がS期進行に伴いDNA複製のfociと類似した局在変化を示すこと、また、その局在変化は、DNA複製のfociの局在変化よりも30分ほど早く起こっていることを明らかにしてきた。このことは、ヒトMcm10が複製開始の30分ほど前に複製部位にリクルートされ、複製開始後に複製部位から遊離することを示唆している。 今年度は、ヒトMcm10の様々な欠失変異体を安定に発現する細胞株を作成し、細胞周期における局在について解析した。その結果、S期におけるクロマチンへの結合とfoci形成には、C末端側の領域が関与していること、またこの領域を介してMcm2-7と相互作用していることが明らかになった。 さらに、siRNAにより細胞内のMcm10をノックダウンしたところ、RPAやPCNAのクロマチン結合量が低下し、S期の遅延が観察された。このとき、DNA複製の伸長速度には変化が無かったことから、複製開始の頻度が低下することによりS期が遅延したことが推測された。以上の結果から、Mcm10はMcm2-7を介してクロマチンに結合し、複製開始反応に関与していることが示唆された。
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