2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17570151
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌田 このみ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80312354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一馬 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (60188290)
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Keywords | 細胞極性 / 出芽酵母 / 脂質二重層 / リン脂質 / トランスロケーション / Cdc42 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
真核細胞の細胞形質膜において、それを構成するリン脂質は二重層の表裏で全く異なる分布をとっていることが知られている。この現象をリン脂質の非対称性と呼び、これまで実験的な証拠は提示されていないが、生体膜一般に見られる現象であると考えられている。しかしながら、リン脂質の非対称性が細胞の生命活動においてどのような意義を持つのかはほとんどわかっていない。私たちのグループは、これまでに出芽酵母において、細胞の極性形成に関わる因子として膜蛋白質Cdc50を同定した。Cdc50はその相同性のある蛋白質が広く真核生物に存在することから、出芽酵母を用いた解析が広く真核細胞に応用できると考えている。さらに私たちは、Cdc50及び出芽酵母のCdc50ホモログであるLem3,Crf1(Cdc50ファミリー)がリン脂質トランスロケースであると考えられているP型ATPase、Drs2及びDnf1とDnf2,Dnf3と複合体を形成して機能することを明らかにしてきている。本研究では、特に、細胞形質膜上に局在するLem3-Dnf1/2複合体が、細胞の極性形成において果たす役割について解析を行った。平成17年度の成果として、以下のことを明らかにした。 (1)lem3次損株、あるいはdnf1 dnf2二重欠損株では細胞の形態が通常よりも細長くなることを示した。 (2)通常よりも細長い形態となるlem3欠損株では、芽の成長過程において、頂端成長(apical growth)から等方成長(isotropic growth)への切り替えに異常が生じており、野生型細胞では核分裂終了時には芽の先端部に局在しなくなっているはずのCdc42が、出芽初期から核分裂終了後の細胞分裂直前まで、芽の先端部に局在し続けることが明らかとなった。 (3)野生型細胞では、核分裂終了時の芽の先端部の細胞形質膜の外層にホスファチジルエタノールアミン(PE)は観察されないが、lem3欠損株では、核分裂終了後の芽の先端部の細胞形質膜外層にホスファチジルエタノールアミンが存在していることがわかった。 これらの結果から、Lem3-Dnf1/2による細胞形質膜でのPEのトランスロケーションがCdc42を介した細胞極性の制御に何らかの役割を果たしていることが示唆された。
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