2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖抑制因子Tob及びCnot7の脂肪・骨芽細胞分化における機能解析
Project/Area Number |
17570154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 能久 東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員 (30396874)
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Keywords | 間葉系細胞 / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / Tob / Cnot7 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞は、骨、脂肪、軟骨、筋、靱帯など間葉系に属する細胞に分化する能力を備えており、再生医療を実施する上での細胞供給源の一つとして注目している。本研究では、細胞増殖抑制因子であるTob、およびその結合因子であるCnot7に焦点をあて、間葉系細胞、特に脂肪細胞と骨芽細胞の分化機構を詳細に解析することを目的とし、新たに以下のような知見を得た。 1)脂肪細胞の分化時において、Tobのみならず、Tobのファミリー分子であるTob2の発現が急激に誘導される。 2)TobまたはCnot7を強制発現させた前駆脂肪細胞株は脂肪細胞への分化能が抑制されるが、Tob2の強制発現により、脂肪細胞分化誘導後の細胞内トリグリセライドの蓄積量が抑えられ、成熟脂肪細胞への分化がより顕著に抑制された。 3)脂肪細胞分化誘導時にTob2蛋白質が誘導されるが、その時にTob2はリン酸化修飾を受けることがわかった。Tob2のリン酸化はRas-Raf-MAPK経路によるものであることがわかり、またそのリン酸化部位を同定した。 4)通常食を与えたマウス、および24時間絶食させた後のマウスの白色脂肪細胞におけるTob2蛋白質の解析を行ったところ、絶食によりリン酸化状態のTob2の量の減少が観察された。 5)Tob2欠損マウスを24時間絶食させることにより、野生型マウスに比べ血糖値の上昇が観察された。 6)糖尿病モデルマウスであるKK-Ay/TaJclやdb/dbマウスの白色脂肪組織において、Tob2の発現量がコントロールに比べ著しく低下していた。 以上の結果より、Tob2が脂肪細胞の分化に関与し、Tob2のリン酸化状態がマウス脂肪組織において脂質代謝制御に関わっていることが示唆された。また、Tob2の発現量と糖尿病発症との関連が示唆された。
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