2005 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル卵母細胞におけるα/β型核輸送の抑制的制御
Project/Area Number |
17570155
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩渕 万里 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, COE助手 (40275350)
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Keywords | 卵母細胞 / 核輸送 / importin α / annulate lamellae / 卵成熟期 |
Research Abstract |
様々な動物種において、卵母細胞の細胞質には、核膜孔様の構造が高密度で分布する特殊な膜annulate lamellae (AL)が形成されるが、その生理的意味は未だ不明である。減数第一分裂前期(G2)に停止したツメガエル未成熟卵母細胞(未成熟卵)ではALが非常によく発達しているが、ALは卵母細胞が減数第一分裂中期に進行すると消失し成熟卵ではみられなくなる。核膜以外の場所に多量の核膜孔様構造があることから、未成熟卵の核輸送は特殊な制御を受けている可能性が示唆される。そこで本研究では、ツメガエルの未成熟卵と、受精卵に相当する賦活した成熟卵の抽出液を用いて、両者におけるimportin α(imp α)およびimportin β(imp β)依存性の核輸送について比較した。その結果、両者において、imp αとimp βの量に差はなく、またimp βに依存する核輸送(β型核輸送)は同程度になされるにもかかわらず、未成熟卵抽出液ではimp αに依存する核輸送(α/β型核輸送)が著しく低い程度でしか起こらないことが見いだした。さらにimp αの大部分が、未成熟卵ではALなどの膜成分と結合しており、卵成熟期に可溶性画分へ移行することが判明した。未成熟卵抽出液に外来性のimp αを加えるとα/β型核輸送が促進されたことから、膜結合型のimp αは核輸送に関して非機能的であることが強く示唆された。興味深いことに、未成熟卵の細胞質にimp αを顕微注射するとα/β型核輸送が促進されただけでなく、未成熟卵の細胞死が誘起された。一方、減数第一分裂中期に進行した卵に顕微注射した場合には卵成熟が正常に進行し、細胞死は誘起されなかった。これらの結果は、未成熟卵においては、imp αのALへの結合によってα/β型核輸送が抑制的に制御されていること、またimp αの機能の抑制は、卵母細胞の長期間にわたる停止に重要であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)