2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱ユビキチン化酵素UBPYによる増殖因子受容体のダウンレギュレーションの調節機構
Project/Area Number |
17570156
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒田 雅之 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (10225568)
|
Keywords | 受容体ダウンレギュレーション / エンドソーム / 選別輸送 / メンブレントラフィック / ユビチキン / 脱ユビキチン化酵素 |
Research Abstract |
増殖因子により活性化された増殖因子受容体は細胞内に取り込まれ、エンドソームを経てリソソームに運ばれ分解される。この受容体のダウンレギュレーションは、活性化された受容体を除去し過度の細胞増殖を防ぐための負の増殖調節機構である。活性化された増殖因子受容体はユビキチン(Ub)化を受け、このUb化がエンドソームからリソソームへの選別輸送シグナルとして働く。そして、2つのUb結合蛋白質HrsとSTAMがエンドソーム膜上で複合体を形成し、Ub化された受容体を認識することによりそのリソソームへの選別輸送因子として機能している。 STAMには脱Ub化酵素UBPYが結合する。そこで上皮細胞増殖因子(EGF)受容体のダウンレギュレーションにおけるUBPYの機能解析を行い、次の結果を得た。1)UBPY過剰発現細胞で、EGF刺激時のEGF受容体のUb化レベルが低下し、その分解が遅延する。2)逆にUBPYノックダウン細胞で、EGF刺激時のEGF受容体のUb化レベルが上昇し、その分解が促進される。3)精製UBPYは、Ub化されたEGF受容体をin vitroで脱Ub化する。4)UBPYはエンドサイトーシスされたEGF受容体と細胞内で結合し、その結合にはHrs-STAM複合体が必要である。5)UBPYはHrs-STAM複合体に非依存的にエンドソームに局在する。以上の結果から、UBPYはHrs-STAM複合体によって選別されたEGF受容体をエンドソーム上で脱Ub化すること、そして"選別輸送シグナル"をはずして受容体のリソソームへの輸送を阻害することにより、そのダウンレギュレーションを抑制することが明らかになった。すなわち、Ub化を介したEGF受容体のダウンレギュレーションにおいて、一度Ub化された受容体を脱Ub化することによりその進行を遅延させる負の調節機構の存在が解明された。
|