2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロトロフィン受容体様分子NRH1による初期胚形態形成の制御
Project/Area Number |
17570167
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹井 紀明 独立行政法人理化学研究所, 細胞分化・器官発生研究グループ, 研究員 (80391960)
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Keywords | アフリカツメガエル / ニワトリ / ニューロトロフィン受容体 / 初期胚 / 細胞運動 |
Research Abstract |
我々は、脊椎動物の原腸形成期胚における細胞運動(convergence and extensionまたはC/E運動)の分子メカニズムを、神経栄養因子(ニューロトロフィン)受容体様タンパク質NRH1の解析を通して理解しようと試みている。これまでに、アフリカツメガエルの系を用いて、NRH1が初期胚のC/E運動の制御に必須の役割を果たすことを明らかにしてきたが、平成17年度は、この解析を、次の2つの側面から展開してきた。 1、ニワトリNRHの単離とその解析 他の動物種におけるNRHの機能を明らかにするために、ニワトリNRH遺伝子を単離した。このニワトリNRHは、細胞外ドメインは、アフリカツメガエルNRH1と相同性が低かったが、細胞内ドメインに関しては70%以上のホモロジーを有し、オルソログと思われた。実際、in situハイブリダイゼーションにより発現パターンを確認したところ、原腸形成期からカエルNRH1と同様に胚の後方に発現が認められた。現在、原腸胚に対して電気穿孔法(エレクトロポレーション)により、ニワトリNRHの強制発現実験とアンチセンスオリゴを用いた機能阻害実験を行い、その影響を、マーカー遺伝子の発現パターンから詳しく検討している。 2、NRH1の下流シグナルの解析 これまでに、NRH1の下流で低分子量Gタンパク質Rho, Rac, Cdc42やJNK経路が活性化されることを明らかにしてきたが、直接のエフェクターはまだ明らかになっていない。そこで、NRHがこれらの下流シグナルを活性化するために必要な領域を、NRHのさまざまなドメインを欠失した変異体コンストラクトを作製し、HEK293細胞にトランスフェクトして最小の機能ドメインを特定しつつある。また、NRH1と直接結合するタンパク質を同定するために酵母ツーハイブリッドの準備を進めている。
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