2006 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ母性RNA局在・翻訳制御における核内RNP複合体形成の機能解析
Project/Area Number |
17570169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 環 東北大学, 大学院薬学研究科, 産学官連携研究員 (50396446)
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Keywords | mRNA局在 / 翻訳制御 / RNP複合体 / Hrp48 |
Research Abstract |
真核生物の細胞は、細胞内で機能する因子群を空間的に制御することによって、高度に特殊化し、かつ多様な機能を獲得している。細胞内における因子の空間的制御は、多くの場合、mRNAの局在と、それに共役した翻訳制御により実現されている。したがって、これらの機構解明は、高等真核生物における細胞の機能分化の解明に重要である。近年、ショウジョウバエ母性mRNAの卵母細胞後極への局在に、スプライシングが重要であることが見いだされ、mRNAの細胞質における局在に、細胞核におけるRNA-タンパク質複合体形成の重要性が示唆されている。我々はこれまでに、核と細胞質をシャトルし、RNA-タンパク質複合体における主要なタンパク質群hnRNPの1つであるであるHrp48が母性RNAの局在と翻訳制御の両方に重要であることを明らかにしてきた。Hrp48はRNAスプライシングを制御することも示されている因子である。本研究では、母性RNAの細胞質における局在・翻訳制御に、スプライシング等の核の中におけるイベントが分子レベルでどのようなメカニズムで関与しているのかを、Hrp48と複合体を形成する因子の同定と解析により解明することを目的としている。 本年度は、平成17年度において解析したHrp48における核移行シグナル配列の、より詳細な解析をアミノ酸置換によって行った。その結果、Hrp48に存在する、ヒトHrp48ホモログであるhnRNP A1において核移行シグナルとして機能する配列M9配列と一致はしないが相同性を持つ配列が、核移行シグナルとして働いていることを示した。また、この配列を欠損させたHrp48、あるいは完全長Hrp48をショウジョウバエ培養細胞であるS2細胞に誘導的に発現させることのできる細胞株を作成し、これらのリコンビナントタンパク質と複合体を形成するタンパク質群の単離を行うことによって、核内Hrp48と複合体を形成する因子群の候補を単離した。(国際シンポジウムRNA2006Izuにて報告)。
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