2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュにおける嗅覚受容体多重遺伝子の発現制御と嗅神経細胞の軸索投射
Project/Area Number |
17570172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西住 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30292832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20163868)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 嗅覚系 / 嗅覚受容体 / 遺伝子発現 / 軸索投射 |
Research Abstract |
マウス嗅覚系において、個々の嗅細胞は千種類以上存在する嗅覚受容体(odorant receptor : OR)遺伝子の中から一種類のみを選択的かつ相互排他的に発現する。当グループでは既に、トランスジェニックマウスを用いた発現系により、MOR28遺伝子クラスターにOR遺伝子の発現に必要なヒトとマウスの間で配列が保存されたホモロジー(H)領域を見出した。このH領域は、そこに形成されると思われるchromatin remodeling複合体が各OR遺伝子のプロモーターと相互作用することにより、OR遺伝子の選択と活性化の制御に関与していると考えられる。本研究では、OR遺伝子の単一発現に必要なLCRやエンハンサー、プロモーターなどの制御領域を効率良く同定し、それに含まれるシスエレメントを絞り込むために、ゼブラフィッシュにおけるトランスジーンの発現系を用いることにした。通常ゼブラフィッシュのOR遺伝子プロモーターにGFP遺伝子をつないでゼブラフィッシュ胚に導入し、一過的に嗅細胞における発現を見ても、GFPの発現頻度は極めて低い。そこで、このゼブラフィッシュのトランスジェニックコンストラクトにマウスMOR28クラスターのH領域を付加し、その効果を調べたところ、GFPを発現する魚の個体数および嗅細胞数が著しく増加した。一連の解析の結果、1)付加するH領域のORプロモーターに対する相対的方向はGFPの発現頻度の上昇に影響を与えないが、2)H領域をタンデムに繋いでコピー数を増やすとGFPの発現頻度はさらに上昇すること、3)当初2kbとされたH領域は様々な欠失変異の解析の結果、最小約200bpでも機能することなどが示された。ここで用いたゼブラフィッシュの発現系は、H領域に含まれるシス配列の特定、更にはそれら変異体の解析に極めて効果的である。今回得られた結果は、マウスのH領域がゼブラフィッシュのORプロモーターにも作用することを示すと共に、ゼブラフィッシュのOR遺伝子系にも同様のシス領域とそれを用いた制御機構のあることを示唆している。
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