2005 Fiscal Year Annual Research Report
卵に存在するステロイド膜受容体の構造と卵成熟誘起における機能
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17570175
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
徳元 俊伸 静岡大学, 理学部, 助教授 (30273163)
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Keywords | ステロイド膜受容体 / プロゲスチン膜受容体 / mPR / キンギョ / 卵成熟 / ステロイドホルモン / 内分泌かく乱物質 |
Research Abstract |
ステロイド膜受容体はその存在については25年前に示されていたが、実体がつかめないままであった。しかし、最近ついにその遺伝子配列がアメリカの研究者らによって報告された。早速我々も、そのステロイド膜受容体遺伝子(mPR)のキンギョホモログ遺伝子のクローニングを開始した。mPRにはα,β、γの3タイプが存在することがヒトやマウスのゲノム情報より明らかにされていたが、キンギョ卵巣cDNAライブラリーのスクリーニングの結果、キンギョ卵巣にはα,βの他、γについては2タイプ(γ-1、γ-2)、計4タイプが存在することが明らかになった。4タイプのうちαタイプについて機能解析を進めた。mPRαはそのアミノ酸配列から7回膜貫通型の膜タンパク質であることが予測されている。そこで、N末端の細胞外領域、中央の細胞外領域のGST融合リコンビナントタンパク質を発現し、抗体の作製を行なった。その結果、目的のステロイド膜受容体の40kDaのバンドと反応する抗体が得られた。この抗体を用いた解析で、卵の卵成熟誘起能とmPRαタンパク質の発現量に相関がみられたことや、モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドの卵内への微少注入によるノックダウン実験から卵成熟の阻害率とmPRαタンパク質の減少が一致してみられたことからmPRαがキンギョステロイド膜受容体の一つであることが示唆された。そこでステロイドホルモンとの相互作用部位である可能性の高い、mPRαN末端の細胞外領域に対するポリクローナル抗体の卵成熟誘起に対する阻害効果を調べた。その結果、この抗体を作用させた卵では17α,20β-DPによる卵成熟誘起が阻害された他、DESによる卵成熟もほぼ同じ率に阻害された。この結果はmPRαがステロイド膜受容体であることを示すと同時にDESの標的分子がmPRαであることを強く支持する。
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