2005 Fiscal Year Annual Research Report
メダカのグロビンおよび孵化酵素遺伝子からみた硬骨魚の遺伝子進化
Project/Area Number |
17570189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
井内 一郎 上智大学, 理工学部, 教授 (10011694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安増 茂樹 上智大学, 理工学部, 助教授 (00222357)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 進化 / 蛋白質 / グロビン / 孵化酵素 / メダカ / 硬骨魚 |
Research Abstract |
I:硬骨魚グロビン遺伝子の進化。メダカグロビンの遺伝子は極めて多様で、分子系統学的解析により成体型グロビン遺伝子クラスターA1と胚型グロビン遺伝子クラスターE1の、2つのクラスターとして存在していた。A1、E1はそれぞれLG19とLG8の染色体上にあった(Maruyana et al.,2004)。ゼブラフィッシュ、フグのデータベースより、それぞれのグロビン遺伝子を検索して解析すると、それらのグロビン遺伝子は、メダカのA1、E1に相当するクラスター構造をとっていた。また、E1クラスターの境界にはprotein14の遺伝子があり、そのイントロンの中には、ヒトαグロビン遺伝子座のエンハンサーとして機能しているHS40と相同の配列が存在し、GFPを用いた遺伝子導入実験より、メダカでも強力なエンハンサーとして機能しうることが分かった。硬骨魚の進化の過程でグロビン遺伝子は、遺伝子重複、転座、偽遺伝子化等、複雑な道筋を経ていることが明らかとなった(Maruyama et al.,2004)。 II:硬骨魚孵化酵素遺伝子の進化。本年度は、ウミメダカFundulus heteroclitusの孵化酵素の単離・精製、酵素学的性格付け、および、遺伝子の構造を調べた。Fundulusの孵化酵素はメダカと同様にHCEとLCEの酵素系である。メダカとFundulusを用い、相互に卵膜分解を観察すると両HCEは特異性がなく両卵膜を膨潤するが、LCEは自種の膨潤卵膜のみを特異的に分解し、他種の卵膜には作用しないことがわかった。このことはLCEが卵膜の種特異的変異に応じて変異した結果であろう(Kawaguchi et al.,2005)。Fundulus HCEとLCEの遺伝子構造も、メダカと同様、前者はintron-less,multicopy遺伝子であり、後者は8-exon/7-intron構造をもつ単一遺伝子であった。ウナギ、ゼブラフィシュにはLCE遺伝子がなくHCE遺伝子のみであり、そのHCE遺伝子も前者は8-exon/7-intron、後者は3つのイントロンがない5-exon/4-intronの構造であった。すなわち、HCE遺伝子のイントロン消失は、ゼブラフィシュを含むOtocepharaでは段階的に、メダカやFundulusなどを含むAcanthopteygiiでは全てのイントロンが一挙に消失したと考えられる。
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[Journal Article] Purification and gene cloning of Fundulus heteroclitus hatching enzyme : A hatching enzyme system composed of high choriolytic enzyme(HCE) and low choriolytic enzyme(LCE) is conserved between two different teleosts, F.heteroclitus and medaka Oryzias latipes.2005
Author(s)
Kawaguchi, M., Yasumasu, S., Shimizu, A., Hiroi, J., Yoshizaki, N., Nagata, K., Tanokura, M., luchi, I.
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Journal Title
FEBS J. 272
Pages: 4315-4326
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