2007 Fiscal Year Annual Research Report
縄文的遺伝子型を定義する-東北縄文人のミトコンドリアDNA解析を通じた試み-
Project/Area Number |
17570192
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安達 登 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ancient DNA / 縄文 / population genetics |
Research Abstract |
東北地方縄文人のミトコンドリアDNAの遺伝子型を明らかにすべく、東北大学所蔵の東北地方縄文人骨・計35個体を試料としてDNAを抽出し、ミトコンドリアDNA(mtDNA)解析によりこれら人骨の遺伝子型を明らかにすることを目的として研究を進めた。 すべての試料について、control regionおよびcoding regionの塩基置換をダイレクトシークエンス法およびamplified product-length polymorphism(APLP)法を用いて検出した。得られた結果をもとに、現代人のデータベースを用いて東北縄文人骨のmtDNAをハプログループに分類した。 検査した35個体のうち、14個体について結果が得られた。観察されたハプログループは、N9b(7個体)、M7a(6個体)、D4b(1個体)の3種類であった。 前年度までの研究で「縄文的遺伝子型」の有力な候補の一つと推定されたハプログループN9bは全体の50%と高頻度に観察され、北海道縄文人の分析結果と併せ考えれば、このハプログループが「縄文的遺伝子型」の一つであることは、少なくとも北日本においてはほぼ間違いないものと考えられた。 しかし、北海道縄文人と比較すると、東北縄文人ではM7aが著しく高頻度であり(北海道で6.4%に対して東北では42.9%)、北海道でみられたD1aおよびG1bが観察されず、現代日本人で主体的なハプログループであるD4bが1個体のみではあるがみられるなど、これらの縄文人集団は遺伝的に必ずしも近縁であるとはいえないと考えられた。なお、東北縄文人の分析結果は既報の関東縄文人の分析結果とも大きく異なっており、今回の結果から縄文時代には既に日本人に遺伝的地域差がみられた可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)