2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国少数民族の歯の形態学的研究 -東アジア集団との関係を探る-
Project/Area Number |
17570197
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
金澤 英作 Nihon University, 松戸歯学部, 教授 (70050648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 隆 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (50130513)
佐々木 佳世子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (80190114)
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
松野 昌展 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10297848)
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Keywords | 中国少数民族 / 苗族 / 雲南省 / 人類学 / 歯の形態 / メトリック形質 / ノンメトリック形質 / 主成分分析 |
Research Abstract |
昨年度の中国雲南省における現地調査で得られた口腔石膏模型の計測、集計、学会発表等を行った。口腔印象模型は成年男子38個、女子62個である。歯は比較的小さいが、歯列は第三大臼歯を持つ個体が多いこと、叢生などが少ないという特徴があった。各歯について歯冠近遠心径、頬舌計を計測し、これまで調査された東南アジア系の少数民であるダイ族、チベット系のハニ族、ナシ族、プミ族、また東アジア系としての日本人、東南アジア系のフィリピン人などと比較した。 1.サイズの計測:上顎側切歯や上下顎第3大臼歯のように形や大きさに個体変異の大きいものは、近遠心径、頬舌径ともにSDが大きくなった。有意な性差は近遠心径よりも頬舌径の項目で多かった。他の4集団(ダイ、ハニ、プミ、ナシ)及びフィリピン人と日本人を含め、合計7集団で主成分分析を行ったところ、苗族は男女ともサイズファクターである第1主成分上で最もサイズの小さいグループになった(上・下顎とも)。第2主成分は切歯・大臼歯に対する犬歯・小臼歯の相対的大きさに関するファクターであるが、すべての集団において男性が女性より大きい傾向があった。すなわち男性の歯は、側方歯群が大きい傾向にある(上顎)。 2.ノンメトリック形質の頻度にもとづいて、スミスのMMDを求め、アジアの他の30集団とともに主座標分析を行い、2次元座標上の分布を見ると、これらの5集団は第1軸上のスンダドントの領域に分布していた。第2軸ではこれら5集団は東南アジアの集団とは離れていた。しかし、これら5集団間の距離も比較的大きく、それぞれの集団の特徴が表れていた。 これらの結果はこれまで知られていなかった苗族の歯の特徴を明らかにするものとして意義の深いものであると考えられる。
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