2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ栽培集団における着色粒発生の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17580003
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (30261457)
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Keywords | 黄ダイズ / 種皮着色抑制 / I遺伝子 / CHS遺伝子 / 構造変異 / 相同組換え / 2本鎖RNA / RT-PCR |
Research Abstract |
I遺伝子を有するダイズは種皮着色が抑制され黄ダイズになる。現在、栽培ダイズのほとんどが黄ダイズであるが、その栽培集団中にIからiへの劣性突然変異の起きることがある。この劣性突然変異体(変異体と省略)は、i/i遺伝子型において、着色粒を生産することから黄ダイズ品種における種子品質の均一性を著しく損なうことになり、黄ダイズの育種上、重要な問題である。本研究はこの突然変異の分子メカニズムを明らかにすることが目的である。昨年度の研究でI候補遺伝子が明らかにされた。今年度は以下の知見が得られた。 1.黄ダイズ品種であるトヨホマレ由来の変異体(THMと省略)では、サザンハイプリダイゼーションによる比較解析から、CHS遺伝子の1つであるICHS1の途中から上流域のI候補遺伝子にわたる3.3kb領域の欠失が示唆されている。今回、THMにおける3.3kb領域の欠失機構を調査した。その結果、3.3kb領域の欠失はI候補遺伝子中の5'-ΔCHS3と下流のICHS1の直列反復配列を介した相同組換えによることが明らかになった。 2.トヨホマレ以外の黄ダイズ品種・系統において見出された複数の変異体において、その構造変異パターンを塩基配列レベルで詳細に調査した。その結果、構造変異パターンがTHMと異なるものの、いずれもI候補遺伝子において構造変異が認められた。以上の結果からI候補遺伝子がI遺伝子であることがさらに支持された。 3.昨年度の研究からI候補遺伝子はその構造的特徴によりCH3遺伝子の2本鎖RNAを形成しうる可E能性が高い。今回、黄ダイズ種皮においてCHS遺伝子の2本鎖RNAの存在がRT-PCRによって示唆された。
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Research Products
(5 results)