2005 Fiscal Year Annual Research Report
コムギにおけるCytoplasmic-homeosisの機構解明と育種的利用
Project/Area Number |
17580009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
村井 耕二 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70261097)
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Keywords | コムギ / pistillody / cytoplasmic-homeosis / ミトコンドリア / 稔性回復遺伝子 |
Research Abstract |
近縁野生種Aegilops crassa細胞質置換コムギ系統では、雄ずいが雌ずいへとホメオティックに変化する(pistillody)。これまでの研究により、Ae. crassaミトコンドリアゲノムにpistillody原因遺伝子が存在すること、コムギ品種「Chinese Spring」(CS)の7B染色体長腕に座乗する稔性回復遺伝子(Rfd1)によって、pistillody誘発が抑制されること、「農林26号」(N26)などいくつかの品種では、短日条件下で作用する未同定の稔性回復遺伝子(Rfd2)により、長日条件下でのみpistillodyが起こること(日長感応性細胞質雄性不稔(photoperiod-sensitive cytoplasmic male sterility : PCMS))、pistillodyの直接的原因は細胞質置換系統におけるクラスC MADSボックス遺伝子発現パターンの変化であること、を明らかにしている。本年度は、以下の成果を得た。 1.pistillody系統の幼穂で発現量の上昇するprotein kinase(PK)遺伝子の全長配列を決定し、RT-PCR法により発現解析を行った。その結果、このPK遺伝子は植物に特有のAGCグループPKであり、雌ずいおよび雌ずい化した雄ずいで特異的に発現することが明らかとなった。 2.pistillody系統で特異的に発現し、Rfd1遺伝子の存在下で発現量の減少するミトコンドリア新規ORF、orf260およびorf113、を見い出した。 3.Ae.crassa細胞質を持つN26((c)-N26)の種子にイオンビームを照射したM2系統において、短日条件下でも完全不稔となる変異系統を12系統選抜した。 4.「フクオトメ」の遺伝的背景を持つ優良PCMS系統と組み合わせる花粉親を選抜するため、(c)-N26に「ミナミノカオリ」など6品種を交配し、F1植物体を得た。
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