2007 Fiscal Year Annual Research Report
コムギにおけるcytoplasmic-homeosisの機構解明と育種的利用
Project/Area Number |
17580009
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
村井 耕二 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 教授 (70261097)
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Keywords | コムギ / pistillody / cytoplasmic-homeosis / ミトコンドリア / 稔性回復遺伝子 / MADSボックス遺伝子 / 胚珠形成 / ハイブリッドコムギ |
Research Abstract |
近縁野生種Aegilops crassa細胞質置換コムギ系統では、雄ずいが雌ずいへとホメオティックに変化する(pistillody)。これまでの研究により、Ae. crassaミトコンドリアゲノムにpistillody原因遺伝子(Ms遺伝子)が存在すること、コムギ品種「Chinese Spring」(CS)の7B染色体長腕に座乗する稔性回復遺伝子(Rfd1)によってpistillody誘発が抑制されること、「農林26号」(N26)などいくつかの品種では、短日条件下で作用する未同定の稔性回復遺伝子(Rfd2)により、長日条件下でのみpistillodyが起こること(日長感応性細胞質雄性不稔(photoperiod-sensitive cytoplasmic male sterility: PCMS))、pistillodyの直接的原因は細胞質置換系統におけるクラスB MADSボックス遺伝子発現パターンの変化であること、を明らかにしている。本年度は、以下の成果を得た。 1.pistillody系統の雌ずい化した雄ずい内部の異所的胚珠形成に、クラスDオヨビBsister MADSボックス遺伝子発現が関与することを明らかにした。(論文投稿中) 2.ミトコンドリア原因Ms候補遺伝子ORF260のタンパク質がpistillody誘発系統の幼穂で蓄積量が多いことをウェスタンブロット法により明らかにした。(論文執筆中) 3.Rfd1遺伝子を含む領域の染色体欠失系統を用いて、この領域にある約30個のRAPDマーカーを見出した。Rfd2の欠失変異体と思われる系統を4系統選抜し、次代の調査を行った。 4.これまでに開発した「フクオトメ」の遺伝的背景を持つ優良PCMS系統と花粉親6品種のF1を調査した。
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