2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 久喜 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (70251022)
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Keywords | ソバ / 自殖性 / カナダ / 農業形質 |
Research Abstract |
カナダで育成された自殖性ソバ系統を用い、日本およびカナダの他殖性ソバと比較検討を行った。自殖性ソバとして、草型や着花数が異なる6系統を使用し、他殖性ソバとしてはカナダの主要な2品種および日本の生態型が異なる4品種を用いた。カナダの品種・系統はすべて夏型の生態型を示した。日本での栽培は春まきの夏栽培と夏まきの秋栽培のいずれにおいても対応可能なので両作期で栽培した。自殖系統は草型に関し、立性と叢生、草高の高いものと低いもの、花数の多いものと少ないもの、個葉の大きいものと普通のものを供試した。草丈は83〜112cm、全分枝数5.1〜13.6本、全花房数40〜216個と特性値に品種間で大きな違いが見られた。従来の他殖性ソバに比べ、形態的に変異に富んだ性質を具備していた。茎葉重および種子重は他殖性品種の330〜410および140〜160g/m^2に対し、自殖性系統は230〜320および20〜100g/m^2といずれも少なかった。千粒重およびリットル重は31〜37gおよび570〜640gで自殖性系統と他殖性系統との間に特定の傾向はみられなかった。自殖性系統にみられた収量性の低さは個体当たり稔実粒数の少なさの他、立毛数の低さが主な原因であった。光合成速度は13.6〜19.4μmolCo_2/m^2/sと品種間で違いがみられたものの、他殖性ソバの16.5〜16.9μmolCo_2/m^2/sとの間にはいずれの系統も有意差が認められなかった。自殖化により光合成機能の向上が期待できた。画像解析による群落の発育の様相は、系統間の差が顕著にあらわれ、プラントキャノピーアナライザーによる特性値把握ともよく一致した値を示した。次年度はより収量性の高い系統を供試して自殖化に伴う農業形質の改良と高収量化への可能性についてさらに検討を進めたい。
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