2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 久喜 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (70251022)
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Keywords | ソバ / 自殖性 / カナダ / 農業形質 / 春まき栽培 / 夏まき栽培 / 光合成速度 |
Research Abstract |
カナダで育成された自殖性ソバ系統を用いて、自殖性ソバの特性を他殖性ソバと対比しながら評価した。平成17年度は自殖性系統6,他殖性品種・系統6(カナダ品種,日本の夏型品種、日本の秋型品種、各2)を使用したが、本年度は春まきではカナダ他殖品種7,日本他殖夏型6に増やし、夏まきではカナダ自殖系統を日本およびカナダの他殖性ソバと比較検討を行った。自殖性ソバとして、草型や着花数が異なる6系統を使用し、他殖性ソバとし14に増やして、栽培比較した。なお、春まきでは栽植密度をm^2当たり83本と167本の2水準で栽培した。 春まき栽培では7月に連続した強風雨により全区で倒伏し、その後の回復がみられなかったことから当初計画していた調査が不可能となった。収量レベルはカナダ自殖系統15〜60g/m^2に対し、カナダ他殖品種40〜73g/m^2、日本他殖性28〜71g/m^2と他殖性品種の方が20%程度多収であった。これに対し夏まき栽培では自殖性系統131〜194g/m^2、カナダ他殖性151〜228g/m^2、日本自殖性178〜238g/m^2と春まき同様に20%内外多収であった。春まき栽培における倒伏、夏まき栽培における品種・系統間差の縮小から、形態的変異についても当初想定していた大きな変異が検出困難となった。群落の発達に呼応して草冠による太陽光の遮蔽が増加した。光合成速度は自殖性系統で26μmolCo_2/m^2/sであったのに対し、カナダ・日本の他殖性品種で24μmolCo_2/m^2/s内外と自殖性系統よりやや低い傾向がみられた。画像解析による群落の発育の様相は、系統間の差が顕著にあらわれ、プラントキャノピーアナライザーによる特性値把握ともよく一致した値を示した。一方、自殖性系統では多様な形態特性に応じて、倒伏関連形質についての基礎的特徴がよくとらえられた。気象災害からカナダの品種・系統特性が発揮される春まき栽培における解析が極めて困難なことと、自殖系統が育成途上にあることから、より多収な自殖性系統を用いて、データを積み重ねる必要性を認めた。
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