2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齊藤 邦行 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60153798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 俊郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10032301)
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Keywords | 暗呼吸速度 / シトクロム呼吸経路 / シアン耐性呼吸経路 / 老化 / 葉身窒素合量 / 枯葉 / 吸水による呼吸上昇 |
Research Abstract |
水稲葉の老化過程における暗呼吸速度の推移を測定するとともに,シアン耐性呼吸阻害剤(サルチルヒドロキサム酸,SHAM)を処理して暗呼吸速度(Rs)に占めるシアン耐性呼吸の割合を推定した.第11葉のRsは測定を開始した移植後41日(DAT41)に最も高く,その後次第に低下し登熱初期のDAT76に最低値を示し,それ以降成熟期まで漸次上昇した.SHÅM処理に伴い,第11葉のRsは64〜84%抑制され,展開完了直後に高く,老化とともに漸次低下がみられた.SIHAM処理に伴うRsの低下をシアン耐性呼吸に由来すると仮定して暗呼吸に占める割合を求めると,穂ぞろい期頃までは40〜50%を占め,老化の進行とともに60〜80%を占めるようになることがわかった.枯葉では0.02〜0.1(mg g^<-1> h^<-1>)程度の呼吸活性が認められたが,吸水処理に伴い第11葉では約1.0(mg g^<-1> h^<-1>)までRsの上昇がみられた.SHAM溶液処理に伴うRsの上昇は小さく吸水処理の約50%となり、枯葉の吸水処理に伴う呼吸活性の上昇にはシトクロム経路・シアン耐性呼吸経路ともに関係することが明らかとなった.以上より,葉身の発育老化過程における暗呼吸活性の変化は小さく,一般に呼吸と密接に関係するとされる窒素含有率の影響は認められなかった.また暗呼吸速度に占めるシアン耐性呼吸の割合は老化の進行とともに高まることが明らかとなり,今後ATP生産を伴わないシアン耐性呼吸の老化過程における役割の解明が期待される.葉身が老化する最終段階は枯死・脱落であり,夜露や雨滴による吸水・脱水を繰返しつつ,老化が進行するものと推察された.
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Research Products
(2 results)