2005 Fiscal Year Annual Research Report
種子散布から発芽までに2年を要する北方景観植物の発芽フェノロジーと種子休眠機構
Project/Area Number |
17580019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲也 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10153727)
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Keywords | オオウバユリ / オオバナノエンレイソウ / 種子数 / 種子重 / 未発達の胚 |
Research Abstract |
日本の北方地域、とくに北海道の植生は本州のそれと大きく異なっており、都市周辺部においても北方地域特有の美しい野生草花の大群落を目にすることができる。本研究は、北方地域における鑑賞価値の高い自生植物の中でもとくに種子が散布されてから,子葉が地上に出芽するまでに二度の冬を要する植物を取り上げ、それらの発芽生態と種子休眠機構を明らかにするとともに、種子から人為的に増殖しようとする際の実用的な知見を得ようとするものである。今年度は,現地調査によって,種子を採取するためのオオバナノエンレイソウとオオウバユリの個体群の位置を確認するとともに,実験に必要な種子を確保し,野外でのフェノロジー観察と室内での発芽に関する実験を開始した。 1.オオバナノエンレイソウの結実時期は7月下旬であり,1果実あたり161±50.0(平均値±標準偏差)個のエライオソームを持つ種子が含まれていた。エライオソームを除去し表面をキムワイプで拭き取った直後の千粒重は3.4g±0.06であった。採取直後の胚長は0.3±0.05mmであり種子の全体長の約11%であった。 2.オオウバユリの結実時期は10月初旬であり,1さく果当たり498±65.7粒の翼をもつ種子が含まれていた。翼の付いた種子の千粒重は5.2±0.06gであった。胚長は0.66±0.07mmであり,種子の全体長の約8%であった。 3.野外での胚成長のフェノロジー観察を開始した。上述したように本研究で取り扱う2種は未発達の胚を有する。両種を野外に埋土し約一か月毎に堀りあげて胚の成長を観察した。1月現在,胚の成長は認められなかった。 4.室内での恒温器を用いた胚成長および発根に関する実験を開始した。実験は,温度勾配恒温器を用いて,光と様々な温度条件を相互に組み合わせた20-30処理区の条件のもとで,シャーレにロ紙を敷いたものを播種床として実施した。
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