2005 Fiscal Year Annual Research Report
個性ある風景創成に向けたカルチュラル・ラルドスケープの継承性に関する研究
Project/Area Number |
17580033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
下村 泰彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (50179016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00181652)
加我 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (00326282)
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Keywords | 風景 / カルチュラル・ランドスケープ / 都市景観 / 地形 / 土地利用 / 地理情報システム / 浪速百景 / 視点場 |
Research Abstract |
本研究では、カルチュラル・ランドスケープの継承性に視点を当てて研究計画を立案し、大阪をスタディ・エリアとして研究を進めた。 具体には、マクロスケールから捉えたカルチュラル・ランドスケープの風景構造については、市民への意識調査結果を用いた「市民が好む風景」の視点場と近世大坂を表現した「浪速百景」の図絵における「かつての風景」の視点場とを地理的位置をGIS(地理情報システム)を用いることによって各時期の好まれる風景ポイントを特定した。一方、これらの風景を支える地理的条件、自然環境条件、社会的および歴史的環境条件については、GISを用いて作成した地形分類図、土地利用特性図上に現在と過去の視点場の位置をプロットすることによって、風景ポイントが成立した環境要因を探るともに、2時期を比較することによって、時間的経過に伴う風景ポイント(視点場の位置)の変化に与えた要因を把握した。さらに、現在の「市民が好む風景」に視点を当て、現地で撮影した写真の中から緑が出現する風景写真を用いて、緑の風景に果たす役割をデザイン的視点から探った。 その結果、上町台地の微高地としての地形的特性や寺町としての歴史的特性、船場地区の商都としての歴史的特性、堀川や大阪湾に面する河口部の水辺での都市活動などが大きく喪失したり埋没しているものの、これらの自然や歴史、生活文化が現在でも大阪固有の風景構造の基盤をなしていることを明らかにした。さらに、緑の果たす役割に関しては、都市の中には自然的な風景資源がまだまだ埋没していることや、高層、高密化した都市空間において、建造物の威圧的なスケール感を緩和する役割、都市空間にビスタなどの構図を与える役割、風景を眺める引き空間としての役割が発揮されていることを明らかにし、風景デザインにおける緑や緑地の重要性を指摘した。
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Research Products
(1 results)