2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物の罹病過程におけるテロメラーゼによる過敏感細胞死の抑制機構
Project/Area Number |
17580037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 勝徳 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (90291335)
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Keywords | テロメラーゼ / 過敏感反応 / 細胞死 / 病害抵抗性 / シロイヌナズナ / サリチル酸 |
Research Abstract |
植物の病害抵抗性反応として誘導される過敏感(HR)細胞死の制御機構を詳細に理解するため、本細胞死の制御に関わるテロメラーゼの機能及び発現調節機構について検討した。得られた成果の概要は以下の通りである。 1 シロイヌナズナの罹病過程におけるテロメラーゼ活性(TA)の誘導機構について調査した結果、Pseudomonas syringae pv.tomato(Pst)DC3000の接種により上昇するTAはAtTERTの転写段階で調節されていること、本遺伝子の5'上流に存在するBBFモチーフが転写調節に関与することが示された。 2 HRの誘導経路とTAの発現制御系の関連を検討した結果、Pst DC3000(avrTpml)1こ対してHRを誘導しないサリチル酸(SA)非応答性のシロイヌナズナ変異株では、接種8時間後にTAの特異的な発現が見られたことから、SAを介したHRの誘導経路がTAの発現制御に関連するものと考えられた。 3 HR細胞死の初期過程で起こる染色体の断片化に及ぼすTAの影響を検討した結果、TA過剰発現株では、Pst DC3000(avrTpml)によるHRの誘導処理に対して細胞核の凝縮及び染色体の断片化が遅延したことから、TAの有するDNA末端へのテロメア付加反応がHR細胞死の誘導抑制に関与することが示唆された。 4 アポトーシス抑制因子AtBI-1とTAとの機能的関連を調査した。その結果、AtBI-1を強発現するシロイヌナズナ株では、Pst DC3000(avrTpml)に対するHR誘導性の低下とTAの顕著な上昇が見られたことから、TAはAtBI-1の下流で機能することが示された。 5 TAの発現制御に果たすテロメア結合因子Ku70の役割について検討した結果、本因子の欠損変異株では、Pst DC3000の感染時にTAの上昇が有意に抑制されることから、Ku70はTAを正に制御することが明らかになった。
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