2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスゲノム内における宿主選択圧力とその病理学的意義
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17580040
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 一里 佐賀大学, 農学部, 教授 (00176869)
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Keywords | ウイルス / ゲノム / 進化 / 選択圧 / 病理学 |
Research Abstract |
Potyvirus属のウイルスは世界中の農作物に最も被害をおよぼしているが、中でもカブモザイクウイルス(TuMV)は一部の限られた地域のみで発生しているのではなく、世界中の温帯、亜熱帯、熱帯地域で発生し、アブラムシ伝搬性で宿主域が広く、進化的に古い歴史を持つウイルスである。野菜の重要病害ウイルスとしてキュウリモザイクウイルスについで2番目にランクされている。このようなウイルスを研究材料として用いることは、1本鎖RNAウイルスやPo卿7鋸の病原性の獲得方法さらに将来の防除法に関わる宿主植物とウイルスゲノムの相互作用に共通する多くの知見が得られると予想される。 平成18年度においては、1)主に我が国を含めた多数の東アジア産分離株(中国-日本の集団)を用いてそれらのゲノムの一部構造を解析し、組換え部位、選択圧、突然変異、中立平衡テストなどのバイオインフォマティクスを用いて集団遺伝構造を解明し、投稿論文としてまとめ受理された。また2)ユーラシア大陸から採集した多くの分離株の全ゲノム構造を多数解析し、TuMVゲノム内の組換えの集積部位を解明し、宿主との選択圧との関係を考察し、投稿論文としてまとめ受理された。さらに3)本邦国内の集団(九州と本州中央部)を用いてそれらのゲノムの一部構造を多数解析し、組換え部位、選択圧、突然変異、中立平衡テストなどのバイオインフォマティクスを用いて集団遺伝構造を解明し、投稿論文としてまとめ受理された。最後に、以上の研究結果を総合的に考察し、病理学的な側面からTuMVゲノムの選択圧について考察した。
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Research Products
(3 results)