2005 Fiscal Year Annual Research Report
PNA-PCRクランピング技術を用いた植物根圏の糸状菌フロラ解析法の確立
Project/Area Number |
17580053
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
境 雅夫 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20225775)
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Keywords | 土壌微生物 / PNA / 植物根菌 |
Research Abstract |
土壌の微生物群集の解析には,培養することなく,直接抽出した核酸(DNA,RNA)をPCR法で増幅して解析する手法が多く用いられている。しかし,この方法を植物根圏の微生物群集に適用する場合には,植物由来の核酸の混入が,障害となってくる。すなわち,特異的なPCRプライマーが存在しないため,微生物群集のSSU rDNAをPCR増幅する場合,同時に植物由来のSSU rDNAも増幅され,その解析が妨げられる。そこで,本研究では,植物根圏の微生物群集とくに糸状菌群の解析法を確立するため,PNA(Peptide Nucleic Acid)によるPCRクランピング法を組み合わせることにより,この障害を回避する研究を進めている。 本年度は,SSU rDNAの配列データベースが充実している細菌を対象として,群集解析に適用可能なPNAの作製を試みた。代表的な細菌種,植物ミトコンドリア,プラスチドのSSU rDNAのアライメントデータをもとに細菌SSU rDNA用プライマーと競合する位置でなおかつミトコンドリアあるいはプラスチドに特異的な領域を検索した。その結果,細菌SSU rDNA用プライマー1492rと競合する位置にミトコンドリア特異的PNA(Mit1492)およびプラスチド特異的PNA(Pla1492)を設計することができた。次に,これら2種類のPNAの植物種に対する適用範囲をSSU rDNAデータベース(RDP-II Release9)を対象に調査した。また,細菌種に対する適用範囲も同様に調査したところ,約12万のデータのうちMit1492では0%,Pla1492では0.01%の細菌種にしか一致せず,植物根圏の細菌群集構造解析に適用可能であると考えられた。
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