2005 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性細菌のクォーラムセンシングを標的とした新奇抗菌剤の開発
Project/Area Number |
17580068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 助教授 (40217930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 宏次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30280788)
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Keywords | 腸球菌 / クォーラムセンシング / スクリーニング / 阻害剤 / ゼラチナーゼ / 病原因子 / 抗感染症剤 / ポスト抗生物質 |
Research Abstract |
腸球菌、Enterococcus faecalisの病原因子の一つと言われるゼラチナーゼの生産は、GBAPと命名された環状ペプチドラクトンをオートインデューサーとしたクォーラムセンシング(QS)により制御されている。GBAPとその生合成酵素FsrB、GBAPのセンサーキナーゼFsrC、レスポンスレギュレーターFsrAはfsr遺伝子群にコードされており、このQS制御系はfsr制御系と呼ばれている。本研究は、fsr制御系を標的とした新しいタイプの抗感染症剤を開発することを目標としている。我々は、(1)FsrBによるGBAPの生合成、(2)FsrCによるGBAPのシグナリング、この2つを阻害のターゲットポイントとして研究を進めている。(1)についてはFsrBの触媒残基と予想されるHis-73とCys-80をAlaに置換するとGBAPの生合成能が喪失することが確認され、FsrBのシステインプロテアーゼ様の活性によりGBAPプロペプチドFsrDのプロセシングおよび環化が行なわれていることが示唆された。FsrBに相同性を示すタンパク質は、ブドウ球菌、リステリア菌、クロストリジウム菌にも存在し、FsrBの阻害剤はこれらのグラム陽性菌の病原性を広く抑えることのできる薬剤として期待される。(2)についてはGBAPのアンタゴニストがターゲットとなる。現在、協同研究者の永田博士らのグループとおいてFsrCの立体構造解析を行なっている。九州大学においてはGBAP類縁体による構造活性相関研究を進めている。すでにGBAPのN末端2残基のテール領域のペプチド鎖がGBAPの活性に重要で、その側鎖は活性には重要でないことを突き止めた。今後、これら両者の研究結果を基にGBAPアンタゴニストをドラッグデザインすることを計画している。同時に、本研究では、天然物を対象にfsr制御系の阻害剤のスクリーニングを行なっている。その結果、放線菌の二次代謝産物であるシアマイシンがfsr制御系を阻害し、腸球菌のGBAP生産およびゼラチナーゼ生産をμM以下で阻害することを見出した。
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Research Products
(2 results)