2006 Fiscal Year Annual Research Report
岡崎フラグメントのプライマーRNA除去に関わる細菌複製機構の新規機能
Project/Area Number |
17580071
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
吉川 博文 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50175676)
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Keywords | DNA複製 / DNAポリメラーゼI / 岡崎フラグメント / リボヌクレアーゼH / 必須パラログ / 合成致死 / 枯草菌 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
枯草菌においてDNAポリメラーゼIをコードするpolAは、そのパラログであるypcP(5'→3'エキソヌクレアーゼホモログ)との組み合わせで合成致死になることを明らかにした。また、大腸菌においてもypcPオルソログであるxni'が存在し、polAとの合成致死を示した。DNAポリメラーゼIは複製時に岡崎フラグメントのプライマーRNA除去という重要な機能を持っているにもかかわらず、大腸菌において欠損できることから何らかの代替機能が示唆されてきたが、この必須機能パラログの発見によりこの二者が持つ5'→3'エキソヌクレアーゼ活性が必須機能であると分かった。さらに、ypcPホモログを持たないシアノバクテリアではpolAが破壊できない必須遺伝子であることも確認し、生物全体で共通の必須機能であることを示唆した。ゲノム配列の報告されている250種の細菌において、古細菌以外はすべてこの5'→3'エキソヌクレアーゼを何らかの形で持つこと、また古細菌では真核生物型のFEN酵素を持っことを明らかにした。 一方、RNase HもプライマーRNA除去に関わることが知られている。枯草菌ゲノムにはRNase Hをコードすると考えられる遺伝子が4種類見出されている。しかし、活性が確認されているのは2種類のみであり、その二重破壊は合成致死であるという報告があったが、本研究において温度感受性やフィラメント状の表現型を示すものの必須ではないことを明らかにした。さらにRNase Hの四重破壊株、polAを含む五重破壊株が得られたことから、RNase Hは最終的に非必須機能であると確認できた。そして、フィラメント状の表現型はSOS応答時に発現するyneAの構成的発現によることを証明した。また、フィラメント状の表現型を示すRNase Hの三重破壊株にPolA、YpcP、新規RNase HIホモログのYpePのいずれを過剰発現させてもフィラメント状の回復が見られた。以上のことから、YpePが新規RNase Hであること、PolAとYpcPの持っ5'→3'エキソヌクレアーゼ活性はRNase H機能を部分的に相補できることが示唆された。
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