2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法による菌類の分生子形成を調節する因子とその多様性解析
Project/Area Number |
17580074
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高島 昌子 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 先任研究員 (20333304)
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Keywords | 分生子 / 温度ストレス / 射出胞子 / 子嚢胞子 |
Research Abstract |
分生子は無性胞子の一つで、この形成様式は形態学的形質として酵母を含む菌類の属以上の高次分類の指標として用いられている。しかしながら、近年の系統解析の結果から、分生子の中には系統を反映しないものも存在することが示されている。我々のこれまでの実験から培養温度および培地中の水分は、分生子のひとつである射出胞子の形成に影響を及ぼすという結果が得られている。また昨年度の実験から子嚢胞子の形成にも温度が関与しているのではないかということが示唆された。そこで本年度は、主に培養温度と子嚢胞子および分生子の形成との関連について実験をおこなった。子嚢胞子形成と温度の関係に関する実験では、Candida thermophilaおよび系統学的に近縁なPichia angusta-Hansenula polymorphaに属する株を用いた。その結果、アナモルフとして報告されていたCandida thermophila JCM10994(基準株)は子嚢胞子を形成し、テレオモルフであることが明らかとなった。また、本菌株を至適生育温度より高い温度に一定時間おいたのちさらに培養を続けると子嚢胞子の形成がより良好となる傾向がみられたが、この傾向は供試したすべての株にあてはまるわけではなかった。現在、供試したそれぞれの分類学的位置について確認を行っている。分生子に関しては、基盤研究(C)(2)15580071で行ったSuppression subtraction実験のデータに基づき、Bullera oryzae JCM5281を用いて射出胞子の形成に関与すると推定されるミトコンドリア遺伝子の探索を開始した。また、射出胞子の形成能と地域性との関連について世界各地から分離されるDioszegia croceaおよびその関連菌類を用いて試験をおこなったところ、これに関して規則性は見出せなかった。
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