2005 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚表皮の角化層領域におけるタンパク質架橋反応の分子基盤
Project/Area Number |
17580077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
人見 清隆 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00202276)
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Keywords | タンパク質架橋反応 / トランスグルタミナーゼ / 表皮細胞 |
Research Abstract |
トランスグルタミナーゼはタンパク質どうしのグルタミン残基とリジン残基とを架橋化する酵素である。この酵素は、様々な生理学的機能(血液凝固、細胞死、表皮形成など)がある。表皮形成においては、皮膚の深層に存在する未分化な基底細胞が分化するにつれて、トランスグルタミナーゼの働きで細胞内のタンパク質が架橋されて、細胞膜直下にcornified envelopを形成する。この過程は、いまだ不明瞭な点が多く、どのようなタンパク質群がどのような順番で、架橋形成されていくかを明らかにする必要がある。また、表皮には、分化に伴って初めて限定分解されて活性化するトランスグルタミナーゼが2種(TGase 1,TGase 3)があり、これらがどのように基質としての細胞内タンパク質の架橋反応を、役割分担しているかについても不明である。 本年度はまず、表皮のトランスグルタミナーゼのうち、TGase 3について、その活性化メカニズムを明らかにした。表皮に特異的に存在するプロテアーゼ阻害タンパク質のノックアウトマウスの表現型に関する知見から、種々のカテプシンを対象に選んで、切断および活性化を検討した。この結果カテプシンLが活性化に関わることを明らかにした(論文投稿中)。今後はこの活性化TGase 3がどのような表皮内の基質タンパク質を好むのかを検討していく。さらに、TGase 1とTGase 3の役割分担解明のため、認識基質配列の解明と特異的な阻害剤の開発が求められる。今年度は量的に豊富なアイソザイムのひとつ、TGase 2をモデルとして基質認識配列の検索システムを開発した(特許出願中、論文投稿中)。
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Research Products
(5 results)