2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚表皮の角化層領域におけるタンパク質架橋反応の分子基盤
Project/Area Number |
17580077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
人見 清隆 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (00202276)
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Keywords | タンパク質架橋反応 / トランスグルタミナーゼ / 表皮細胞 / 角化 |
Research Abstract |
トランスグルタミナーゼはタンパク質どうしのグルタミン残基とリジン残基とを架橋化する酵素である。この酵素には、様々な生理学的機能(血液凝固、細胞死、表皮形成など)がある。表皮形成においては、皮膚の深層に存在する未分化な基底細胞が分化するにつれて、トランスグルタミナーゼの働きで細胞内のタンパク質が架橋され、細胞膜直下にcornified envelopを形成する。この過程は、いまだ不明瞭な点が多く、どのようなタンパク質群がどのような順番で、架橋形成されていくかを明らかにする必要がある。また、表皮には、分化に伴って初めて限定分解されて活性化するトランスグルタミナーゼが3種(TGase 1,TGase 3)があり、これらがどのように基質としての細胞内タンパク質の架橋反応を、役割分担しているかについても不明であった。代表者は研究期間内に、表皮のトランスグルタミナーゼのうち、TGase 3について、その活性化メカニズムを明らかにした。表皮に特異的に存在するプロテアーゼ阻害タンパク質のノックアウトマウスに関する知見から、種々のカテプシンを対象に選んで、切断および活性化を検討した。この結果カテプシンLが活性化に関わることをオランダのグループとの共同研究で明らかにした(J.Biol.Chem.Chen et al.2006)。さらに、活性化された表皮のTGase群がどのような基質タンパク質を選択するかを効率よく検索していく必要があったが、期間内に主要なアイソザイムであるTGase2,FactorXIIIをモデルとして、基質認識配列の検索システムを開発した(特許出願中、J.Biol.Chem.Sugimura et al.2006)。これらの成果は、表皮のアイソザイム数種の役割分担解明のみならず、認識基質配列の解明と特異的な阻害剤の開発に貢献しうる。
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Research Products
(5 results)