2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580078
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
青木 直人 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40242846)
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Keywords | MFG-E8 / 乳腺退縮 / apoptosis / phagocyte |
Research Abstract |
MFG-E8は泌乳期乳腺において高度に発現誘導され,乳脂肪分泌に深く関与すると考えられているがその実態は明らかでない。今回退縮期乳腺でのアポトーシス細胞のマーキングへの関与を調べる目的で,泌乳期の親マウスより強制的に子供を引き離す,あるいは自然に離乳することにより退縮プログラムを開始した乳腺を取り出し,MFG-E8の発現変動を調べた。その結果,MFG-E8は遺伝子レベルでもタンパク質レベルでも退縮期乳腺における発現がさらに上昇することが明らかとなった。凍結切片を用いてより詳細に調べると,退縮が進むにつれてMFG-E8は上皮細胞のルーメン側に蓄積することが明らかとなった。同じ切片上ではMFG-E8を合成・分泌することが知られているマクロファージは殆ど検出されなかったことから,乳中に存在するMFG-E8がアポトーシスを受けた乳腺上皮細胞をマーキングをすることが強く示唆された。この結果を支持するように,退縮期の乳腺より集めた乳汁中のMFG-E8は泌乳期のものに比べて遙かに高いボスファチジルセリン結合活性を示した。さらに興味深いことに,乳汁をショ糖密度勾配遠心分離法により細分画すると,エキソソーム様膜小胞とほぼ同様な密度をもつ画分に強いホスファチジルセリン結合活性,アポトーシス細胞結合活性,マクロファージリクルーティング活性が見出された。すなわち,退縮期乳汁中では,自ら分泌したMFG-E8が膜小胞上に局在し,それらが優先的に退縮によりアポトーシスを受けた乳腺上皮細胞へと結合し,その後マクロファージによる貪食を仲介するメカニズムが明らかとなった。以上の結果は,原著論文として発表した(Biochem.J 395,21-30,2006)。
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