2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580079
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江坂 宗春 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (70151975)
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Keywords | アスコルビン酸 / アセロラ / 形質転換 / ストレス抵抗性植物 / トマト / ビタミンC |
Research Abstract |
トマトにおけるアスコルビン酸の生合成に焦点をあてるともに、トマトのアスコルビン酸含量を増大するための研究を遂行した。 まず、トマトにおけるアスコルビン酸生合成酵素の発現様式の解析を行った。すでにそのcDNAがクローニングされているL-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素の発現様式に着目した。L-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素はアスコルビン酸生合成の最終段階を触媒する酵素であり、したがって、アスコルビン酸の生合成を律速する酵素である可能性が強い。トマト植物体の各組織におけるアスコルビン酸含量、トマトの発芽過程や貯蔵中のアスコルビン酸含量を調べるとともに、ノーザンブロッティングにより、L-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素のmRNA量についても調べた。また、もう一つのアスコルビン酸生合成酵素であるGDP-D-マンノースピロホスホリラーゼのcDNAについても、RT-PCR法、RACE法を用いて、クローニング後、同様に、ノーザンブロッティング法により、トマト植物体の各組織やトマトの発芽過程、貯蔵中のGDP-D-マンノースピロホスホリラーゼmRNAの発現様式を調べた。その結果、L-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素の発現量については、アスコルビン酸含量との間に正の相関が示され、トマトにおいても、L-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素がアスコルビン酸の生合成を律速する酵素であることが示唆された。一方、GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼmRNAの発現とアスコルビン酸含量は必ずしも相関せず、GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼが、アスコルビン酸の生合性を調節するかどうかは不明であった。 次に、トマトのアスコルビン酸含量を高めるための研究を行った。最初に、アスコルビン酸含量がトマトのものより10倍以上高いアセロラのアスコルビン酸生合成に着目し、アセロラの高いアスコルビン酸生合成能力をトマトに賦与するための研究を行った。さらに、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の遺伝子をトマトに導入するための形質転換法の開発を行い、最終的にトマトのアスコルビン酸含量を高め、ストレス抵抗性トマトが作出できる可能性が示唆された。
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