2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロイシンリッチリピートをもつ受容体のリガンド結合部位の大腸菌での発現技術の活用
Project/Area Number |
17580082
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永野 幸生 佐賀大学, 総合分析実験センター, 助教授 (00263038)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 植物 |
Research Abstract |
細胞外ドメイン(リガンド結合ドメイン)にロイシンリッチリピート(LRR)と呼ばれるロイシンを豊富に含む繰り返し配列を有する受容体が動植物の分化、成長、生殖、免疫などの現象で重要な役割を果たしている。そのため、これらの現象を分子レベルで理解するには、LRRをもつ受容体のリガンド認識機構を解明することが不可欠である。研究代表者は、LRRをもつ受容体のリガンド結合部位の大腸菌での発現技術を開発したが、研究の過程で、この技術で得られた組換えタンパク質の大部分が不活性であることが判明した。そこで、大腸菌の発現系の再検討を行ったところ、タグとなるタンパク質の種類と細胞の破砕条件を検討することで、活性を待った形で組換えタンパク質を得ることに成功した。 この技術を用いて、トマトのLRRをもつ受容体BRI1/SR160について研究を行った。この受容体は植物の成長や分化を促進するステロイドホルモン、ブラシノライド(BL)と、葉の食害に対する防御機構を誘導するペプチドホルモン、システミンという全く性質の異なる2つのリガンドを認識し、異なる生理作用を誘導する。しかし、この1つの受容体がどのようにして、この2つの異なるリガンドを認識し、異なるシグナルを誘導するのかわかっていない。そこで、BRI1/SR160とシステミンおよびBLの相互作用機構の解析を行った。BRI1/SR160の細胞外ドメイン全長を大腸菌で発現させ、その領域がBLと結合することを確認した。さらに、過剰量のシステミンを加え、BLと競合するかどうかを調べたところ競合は見られなかった。このことから、BRI1/SR160おけるシステミンとBL結合部位は異なること、すなわち、BRI1/SR160は二つのリガンド認識機構をもつことが示唆された。この研究成果については、現在、論文にまとめているところである。
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